873: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:49:45.43 ID:dxIhcDNDO
広場には幾つか屋台が並んでおり、名誉ブリタニア人──日本人の姿も多く見える。こういう場所は租界でも珍しい。カレンが待ち合わせにこの場所を良く使うのにはそういった理由もあった。
自然と頬が緩む。虐げられてばかりの日本人だが、ここにいる人達は活気に満ちていた。
普通のブリタニア人はあまり此処には立ち寄らない。噴水や遊具、時計台のある綺麗な公園は他にあり、そちらの方を好むからだ。この公園は広いが、何も無い。表面上は権利を認めている名誉ブリタニア人用の──言ってみれば隔離場所のようなものだ。
最近は無くなったようだが、以前はブリタニアの軍人や警察関係者が頻繁に嫌がらせをしていた。隔離なんてしている癖に、ストレスを発散をするためだけに立ち寄るという行為は吐き気を催す程に醜悪だ。
だが、それでも日本人は強く生きている。<黒の騎士団>の活躍により若干ではあるものの、租界内におけるナンバーズの待遇に改善の兆しが見られるようになってきたのだ。
自分の所属する組織が彼らの希望になっている。そう思えるこの場所はカレンにとっての誇りだった。
周囲が日本人ばかりだったためか、頬と共に気持ちも緩んでしまっていた。体に軽い衝撃。
「あっ……」
下から短い悲鳴が聞こえた。初等学校低学年くらいの男の子がよそ見をしていてカレンにぶつかったらしかった。持っていたアイスクリームがスカートにべったりと付着している。
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