875: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/11/15(日) 23:54:34.55 ID:dxIhcDNDO
どうしようもなかった。
ブリタニア人と日本人。加害者と被害者。支配する側とされる側。そんな線引きがカレンと目の前の親子の間にはあった。
こちらがどれだけ好意的に接しても、この親子には届かない。白い肌に赤い髪、碧眼の日本人なんていないのだから。
日本人でもなく、ブリタニア人でもない。そんな自分には許される居場所なんて無いのだと、この平和な公園で唐突に叩きつけられた。
周囲にはどんどんと野次馬が集まってきている。しかしそんな事も認識出来ないほど混乱していた。頭を殴られたようなショックがカレンから思考力を奪っている。
呆然としていると、人混みを掻き分けて誰かが近づいてきていた。
「今日はこんなことばかりだな」
「……ライ」
騒ぎを聞きつけてやってきたのだろう。銀髪の少年は衣服の汚れたカレンと謝り続ける親子を交互に見て、状況を理解したようだった。
「離れよう。ここにいても意味が無い」
「でも、私……」
食い下がろうとするカレンの手から鞄を取り上げ、ライは続ける。ぶつかられた時、とっさに後ろへ回していたらしい。そんなことにも今さら気づいた。
「彼女たちのためにならない。君にも分かるだろう」
「う、うん」
他に方法はなかった。認める他無い。今の自分にあの親子を安心させる方法など無いのだ。カレンは『気にしないで』と告げると、足早にその場を後にした。
後ろでライが何かを言っている声が聞こえたが、耳には入らなかった。強いショックと落胆でそれどころではなかった。
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