958: ◆QH3tH0UkImyM[saga]
2015/12/01(火) 08:37:12.29 ID:IN4redvDO
大切な人を泣かせる周囲が嫌いだった。涙を止められない自分が嫌いだった。
奪われるだけなんて間違っている。
壊されるだけなんて許せない。
失うだけの人生なんて認められるものか。
ならばどうする?
簡単な話だ。泣かなくていい世界を作ればいい。そのためには力が必要だ。誰にも負けない力。大切な者を絶対に守れる力。世界を意のままに出来る力。
──力が欲しいか?
C.C.の声がした。また世界が変転する。
泉のほとりに寄り添う丘には、一本の剣が刺さった台座があった。これまで誰にも抜けなかった魔法の剣。所有者に力を授けるという、王の剣。
その柄を握る。
──力があれば生きられるか?
またも変転。
戦場を駆けていた。右手に持つは一本の剣。全てを切り裂く光の剣。その輝きはめったに姿を見せないあの太陽さえ凌ぐような眩しさだった。
その輝きで敵を殺す。異国の民を、蛮族を、反乱を企てた自国の民でさえ。
生きたいのではない。生かしたいのだ。
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