過去ログ - 加賀「反転電波を浴びたから提督を搾首手ポキするわ」 R-18G
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1:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:37:55.14 ID:xh8SUIpPo

 なんだか、夏場だというのにひどく寒く感じた。けれども、窓を閉める気にもならない
鎮痛剤で動かない頭を引きずりながら手帳にペンで書きつける。
それでも、腕を動かすたびに身体に走る痛覚の電流は、字に不自然なハネをつけた。

 昨日鎮守府付近で検出された電磁波は、微弱ながらも独特な波長を持っており、
艦娘の特定の人物に対する感情を極端に悪化させ、暴力行為さえを許容させる。二種類の波長、範囲の狭い波と広い波が存在し、
前者を浴びたものを後者でコントロールする。(当鎮守府はすべての艦娘が前者を浴びた)
初期症状は対象者にのみ見分けがつく。散見された際には、提督は距離をとって速やかに報告するように――

 発生源、発生源。潜水艦と目されているが、潰したところで元に戻るのだろうか?
……現在、この国の防衛システムは殆ど艦娘に依存している。それが、こんなにも簡単に。
本来ならあってはならない鎮守府で被害が発生したことは、思いの外幸運だったのかもしれない。

 少し、書き続けるのが、つらくなってきた。ベットに体重を預け身を崩す。
兎にも角にも、早く対抗手段が生み出されることを祈るしかない。優秀であるらしいから、さっさと成果はでるだろう。
そうでなければ、この国は艦娘に対する信頼を失っていく。此処まで容易い兵器だったのかと、そう思ったのなら……
これ以上は今考えることではない。現在最も重要な課題は、解除時のこの鎮守府の艦娘の精神的回復だ。

 どうにか、しなければ、回転数の減った頭を必死でまわしていると、ふと、分厚かった扉が半開きになっている。
開いている窓に向かって流れている風に今気がついた。隙間から覗かれる広がっていく闇の中に見覚えのある姿を捉える。
初期からいる艦娘の姿。感情表現は不得手だったが、ぶっきらぼうな中にも優しさが感じ取れる者だった。
酷く信頼していたように思う女性の一人だ。そこに立っていた。見たこともないような笑顔を浮かべて。

 

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2:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:38:47.44 ID:xh8SUIpPo
月明かりは差し込まない。ただ、ライトの光が下からその端正な顔を照らし出している。
色も形も普段と何ら変わりはない。ただ表情だけがある種の残酷さだけを湛えて微笑む。
何がそんなにうれしいのだろうか。聞いてみても返答はなく、静けさを保ったままで傍らにまで歩いてくる。

 「……提督、私、感情表現が、上手ではありません」
以下略



3:名無しNIPPER[sage]
2015/06/14(日) 20:39:54.31 ID:xh8SUIpPo

 橙色の朝日、総員起こしの少し前である。太陽の昇る東の空を見ると雲一つなく、
今日も晴天になりそうだった。西は見なかったのだけれども。
身支度を整えて、遠征に出ていた部下たちを迎えに行く。白い軍服には皺はよってなさそうだった。

以下略



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