過去ログ - みく「死の港町にて」【モバマス×メタルマックス3】
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◆Freege5emM
[saga]
2015/06/28(日) 00:09:57.22 ID:nhj66epYo
●03-02
その瞬間、みくは生まれて初めて、逆さまに宙を舞った。
パン、パンと2発の銃声が響いて、はじけた余韻がみくの鼓膜に押し込まれる。
「……オキシドバレット」
「人間パトリオットじゃ、落とせないわよ!」
聞き覚えのある声が割り込んだ瞬間、みくは地べたにしたたか体を打たれた。
閉じた瞼の裏に星が落ちて消える。
「……猫みたいには、いかないものだにゃ」
みくは体を起こし、視線を上げる。
みくが叩き割ったニトロビールは、のあの足元で陽炎を起こすばかりだった。
夕闇を炎の明るさが侵食して、のあの樹脂光沢に不気味な輝きが上塗りされている。
そばのモトクロッサにも引火しているらしく、熱で変形した装甲タイルが、
パリパリと香ばしい音を立てて剥がれ落ちていた。
「ソルジャーとやり合おうなんて。あなた、きっとすぐ死ぬタチね!」
「あいつ美優さんのお知り合いかにゃ!」
みくと美優、二人の怒鳴り声の間を手榴弾の爆風がつんざき、
みくは再び地へ伏せた。飛び散った破片が街路を引っかきながら滑っていく。
「……荒っぽい消火にゃあ」
ニトロビールの熾火が手榴弾の炸裂で刈り尽くされた。
残り火は、アスファルトの溝にこびり着いたニトロの残滓とともに、不貞腐れて地を這っている。
その一つを、モトクロッサに寄りかかっていたのあが踏み消した。
「……あなた、相変わらずペットがスキなのね。犬の次は、猫?」
「余計なお世話よ、のあ」
のあの視線は、みくから美優へ完全に移っていた。
(みくのことは取るに足らない猫扱いか、にゃ)
あのツンとすましたサイボーグと、熱にのたうつマユラーの触手と、どちらのほうがタフか。
のあは、ちょうどオキシドバレットを一発被弾していた。触手と同じ状況だ。
懐のマグナムガデスをぶっ放したい衝動を、みくは辛うじて抑えた。
あれはマンホールから動けない触手とは違う。
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