過去ログ - 八幡「贈り物には想いを込めて」
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33: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/15(月) 23:35:49.86 ID:7IXBXgnJ0
痛いほどの真剣な様子が、彼女の顔を見ずとも伝わってくるようだった。

言いたい事はわかる。これ以上拒絶されるのが怖い。
今まで通りでいられなくなるのが怖いという。それは至極当然なことのように思える。

着地点が捉えられない変化なら尚更だ。ゴールの見えない物事ほど怖いものはない。

人の想いとは、期間に差はあれど、時間をかけて個々人が積み重ねるものだ。
想いの否定は、大なり小なりの違いはあるが積み重ねた時間の、それこそ人生の否定だと思う。

想ってきた時間を無に帰すものが拒絶なのだ。


仮に、告白をしたとする。そして失敗したとしたら。
そこには「振った側」と「振られた側」というふたつの立場が生まれることになる。

ここでよく掛けられる言葉に「これまでと変わらずに友達でいよう」というものがある。
その場しのぎの常套句。なんて陳腐で、残酷な言葉なのだろうか。願望の押し付けほど醜いものはない。

振った側は相手に対して申し訳ないと思うだろう。これ以上傷つけたくない、だから一定の距離を保つように言葉を探し続ける。

そして振られた側も、相手の願いに応えようとする。健気にも、これ以上変わってしまわぬよう努めるのだろう。
嫌われたくない、その想いは遠慮を生む。そして人は離れていく。

お互いに感じる引け目。それこそが、一色が現在葉山に感じている「壁」の正体だ。

変わらない関係を強要することがより相手を傷付ける。
それはがんじがらめにされて動けない獣を想像させた。もがけばもがくほど縄は食い込み、やがて命を奪う。

少なくとも俺は知ってしまった。変わらない関係なんて存在しないことを。

そして、きつく結ばれてほどけなくなった縄をほどく方法も。今は知っている。



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