40: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 00:00:53.71 ID:9WL6O8ki0
しかし本当に寒い。マフラーかコートでも持ってくればよかったと後悔しつつも、自販機で買ったマッカンを呷り文庫本を開いた。
物語の世界に浸ろうと文字列に意識を向けた瞬間目の前が真っ暗になった。ポケモンかよ。
「だーれだっ!」
「戸塚」
両目が小さな柔らかい手から開放され、再び視界を取り戻して後ろを振り向くと、元から大きな目をさらに大きく見開いた戸塚彩加がいた。
持っていたノートを小脇に抱え直して、ぱちぱちと両手を合わせて叩く。
「すごいね八幡。一発でわかるなんてびっくりしたよ」
「ああ。俺レベルにもなると匂いだけで戸塚とそれ以外を判別できるぞ」
思わず気持ち悪いことをサラッと言ってしまった。戸塚を前にするとお口にチャックが出来なくて困るぜ……。
あはは、と若干引き気味の戸塚を見ていると、何故ここにいるのかとふいに疑問が湧いた。
「で、どうしたんだ? なんかあったのか?」
「うん。あのね、昼休みに部長会があってね。ちょうどそこの教室でやってたんだ。終わって歩いてたら八幡が見えたからさ」
「そういうことか」
なるほど部長会、そういうものもあるのか。ってことは雪ノ下も出席してるのか?はて、どうなんだろうか?
今度聞いてみようとか考えていると、くしゅんと、かわいらしいくしゃみが聞こえた。
「八幡ここ寒くないの?」
とっても寒いな。でもお前がいればあったかいんだからぁ〜。
ただ何となく、あの空気の教室には今は戻りたくなかった。
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