42: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/16(火) 00:05:55.56 ID:9WL6O8ki0
「……なんか用なのか?」
「用がなければ話しかけちゃいけないのか? クラスメイトなのに」
こいつ……。
口元は笑っているが、目は薄く開かれているだけでそこに笑みはない。
皆が知り、普段から柔和な笑みを浮かべている葉山が、普段もつそれとは明らかに違う。
こいつがこういう顔をするのは、大抵何かの意図を持って行動している時だ。
思わず警戒レベルを一段階引き上げる。目には目を、歯には歯を、皮肉には皮肉を。
「生憎だが、俺にとってのクラスメイトは一部を除いてほぼ見ず知らずの他人と同義なんだよ。ただ同じ教室内にいるってだけだ。
気安く見ず知らずの人間に話しかけるか?」
「……あいかわらず捻くれてるな。まあ用はあるんだけど」
葉山は一旦立ち上がり、こちらに向き直ると正面から向き合う形になった。
見下ろすような様な視線が問い詰めているように見えてしまう。
「最近になって、いろはが積極的でね……この前も遊びに行かないか誘われた」
そうか一色のことか。そうなればある程度合点がいく。
何故葉山が話しかけた来たのか、何を聞きたがっているのか。ある程度の予想は可能だ。そして、俺の答えは決まっている。
「自慢か?そういうのはお友達にしてやってくれ」
「そういう話じゃない。比企谷なら知ってるんじゃないかと思ってね」
ついつい皮肉めいた返しをしてしまう。葉山の前では素直になれない俺ってまじ乙女。
心の中で思ってても我ながらキモいな。
葉山はふっと呆れたような笑みを浮かべつつ、こちらを変わらず見据えてくる。
その目には有無を言わさぬ強制力があった。知っていることを言えと、言外にそう滲ませているようだった。
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