79: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:47:41.87 ID:bJtf1eDj0
「こちらこそごめんなさい……連絡が遅れてしまって。待たせたでしょう?」
そう言って反省の弁を述べる。表情は窺えないが、声の調子からなんとなくどんな顔をしているかは推察できる。
こういうところは本当になんというか律儀で、雪ノ下らしいなと微笑んでしまう。
「部室にいてもここにいても本読んでただけだからな。お前が気にすることでもねーよ」
「……そうね。あなたらしいわ」
くす、と笑い声が響いた。
そこから再びの沈黙。今日の雪ノ下は刺がなくて少しやりづらいなと、頬をかいた。
体調が悪いようだし、話すこともないならと椅子から腰を上げた。
「それじゃ、もう帰るわ。あんまりここにいても悪いしな。そのうち由比ヶ浜も戻ってくるから」
「待ちなさい、比企谷くん」
そう言って扉の方に向かって歩き出した俺を、雪ノ下の静かな少しくぐもった声が押しとどめる。
何だろうかと、その場で脚を止めて続きを待った。
「顔くらい見せていきなさい。見舞いに来たのなら、病人に顔を見せるのが最低限のマナーだと思うのだけれど」
え、そういうマナーってあるの?八幡わかんない。
雪ノ下が言うならきっとそうなのだろう。きっと間違いなんかじゃないはずだ。
彼女の言う事だから無条件に信頼するわけではない。
ただ、行動するには充分すぎる理由を貰い俺は動いた。
カーテンの前まで進む。中には人の気配が当然ある。
薄布越しに確認を取った。
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