81: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 00:57:29.51 ID:bJtf1eDj0
「あなたはいつもこんなことばかり言ってるのだから、少しは聞く側の立場にもなってみなさい」
「そうっすか……」
それから2つ、3つ会話をして、再び静かな時間が流れる。
俺も彼女も多弁ではない。言葉が少なくて間違えることもあった。
ただ、この沈黙は不思議と苦痛じゃない。それを彼女も感じているかはわからないのだが。
目の前の穏やかな笑みを見れば、きっと悪くは思ってないのだろう。
「ところでチョコは何個貰ったのかしら?」
「……お前がそういうこと聞いて来るの初めてだな」
「あら、それはこの前のお返しのつもりかしら? 他意はないわ。純粋な興味よ」
マラソン大会の日の保健室でのやりとりの意趣返しのような気持ちで言葉を返したが、それはしっかり伝わったようだった。
他意はないと言いつつ、雪ノ下の目は意地悪そうに輝いている。
俺はふぅと息を吐くと右手の指を3本すっと立て数をアピールした。
「聞いて驚け……現時点で既に3つだ。もうすぐ4つになるから歴代の記録を大きく塗り替えるな」
胸を張って自慢気に答える。実際嬉しいから仕方ない。
家に帰って小町から貰えればそれで4つになる。すごいな今年の俺。去年の4倍だぞ、4倍。
「あら、すごいじゃない? 自称ぼっちのモテ谷くん」
「おいなんだそのあだ名」
目を丸くして心底感心したような声で変なあだ名をつけてくる。少しだけ言葉に棘が垣間見えたのは気のせいだろうか?
こちらもチクリと反撃する。
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