84: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:10:45.83 ID:bJtf1eDj0
「……じゃあ、はい」
そちらを見やれば、先ほどと同様に包装された箱がこちらに差し出されている。
「……おう」
今度はしっかりと受け取る。
落としてしまわぬように、失ってしまわぬように、鞄にしっかりとしまい込んだ。
鞄を改めて地面に置き直したタイミングで、計っていたかのように保健室の扉が開けられた。
「……ゆきのん起きたかな? あれヒッキーどこ行ったんだろう?」
由比ヶ浜からはカーテン内にいるこちらの様子を確認することはできない。そのせいで気が付かないのだろう。
カーテンから少しだけ顔を出し、位置を知らせた。
「由比ヶ浜こっちだ」
「あ、やっぱゆきのん起きたんだね。よかったぁ」
由比ヶ浜がカーテン内に入りやすいよう、入口のカーテンを広げたまま抑えておく。
ありがと、とこちらに小さく目配せし、雪ノ下に近づいていった。
しかし、この狭い空間内に3人。しかもうち2人は女子だと、ものすごく甘ったるい香りが漂っている。
何で女子ってこんな良い匂いするんだろう?
女の子独特ともいえる匂いに内心ドギマギしていると、心配そうな声で雪ノ下に声が掛かる。
「やっぱちょっと顔赤いね。もう大丈夫そう?」
「ええ、寝ていたおかげで楽になったわ。由比ヶ浜さんにも迷惑をかけてしまって……ごめんなさいね」
「ぜーんぜん迷惑なんかじゃないよ! あ、そうだゆきのん……」
「……?」
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