86: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:16:10.99 ID:bJtf1eDj0
「さみぃな……」
「寒いね……」
自転車を押して、由比ヶ浜と並んでバス停までの道を歩く。
やっぱさっき暖かいと感じたのは暖房のお蔭ってのが多分にあるなと再認識させられる。えーそれでいいの?
寒いものは寒いのだ。それ以上もそれ以下もない。
あの後も引き続き話していると、様子を見に来た平塚先生と養護教諭に帰るよう促された。
雪ノ下は先生の車でマンションまで送られるらしい。俺も、と同乗したかったが自転車を置いて帰ると通学に不便なので
しぶしぶ諦めることにした。
結局あいつは家族に頼ろうとしなかった。
駄々をこねる子供のように電話を拒否する雪ノ下を見るのは中々新鮮だったが、そこまで抵抗するのはやはり上手くいっていないんだろう。
だからと言ってそこに深入りするのはおかしな話で、それこそ正に空気を読めというやつだ。
家族の問題に他人が顔を突っ込むのと、女の子のお喋りに口をはさむのでは訳が違う。
だから、基本は待つしかない。待ちガイルだ。ちょっと違うな、うん。
待って、待って、待ち続けて。それで向こうが話してくれたら、それでいいと思う。
校門を出て、停留所まではあと少しだ。
いつものように他愛もない話をしつつ、のんびりとしたペースで進んでいく。
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