88: ◆D04V/hGKfE[saga]
2015/06/17(水) 01:22:09.94 ID:bJtf1eDj0
ガバッと頭を下げて謝る。やはりそうだったか。
ちょっとカマ掛けてみたつもりだったけど見事にビンゴしてしまったようだ。
「別に気にしなくていい。聞かれて困るようなことは話してないしな」
「でも……」
気にするな、と言われて、はい気にしないです、と言える奴なんていない。
そんな奴がいたら見てみたい。どんだけ面の皮が厚いんだよって話だ。
だから、そういう意味では由比ヶ浜の今のばつの悪そうな顔は正しい。
彼女のころころ変わる表情からは、本当に生きている人間らしさを感じさせてくれる。
「あー、ほらお前もチョコくれただろ。それでチャラだ」
ぶっきらぼうに一気に言い放った。あの保健室でのやりとりを思い出してしまい顔が熱くなる。
由比ヶ浜はきょとんとした顔になったと思うと、優しく微笑んだ。
「なんていうかヒッキーらしい励まし方だな、って思ったよ」
「いや別に励ますとかそういうんじゃ……」
ごにょごにょ言っていると、通りの向こうから路線バスがやって来るのが見えた。
交差点の赤信号で止まったが、到着までは時間の問題だろう。
「バス来ちゃったね。ほんとに今日はありがとう。ヒッキーはやっぱり優しいと思うよ?少なくとも、あたしはそう思ってるから」
多分ゆきのんも、と付け加える。
面と向かってそんなことを言われると、なんて返したら良いのかまったくわからず、当たり障りのない答えを返すしかなかった。
「……どういたしまして」
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