過去ログ - 時雨「ねえ、君にとって幸せって何だい?」山城「——」
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3: ◆ngCxH3SH2s[sage saga]
2015/06/17(水) 16:16:51.28 ID:R8aBRaVP0
山城(私はチャンスだと思った。
艦娘の適正検査に殺到する孤児達の中に、私達も加わろうと何度も姉様に具申した)

山城(しかし姉様は困ったように眉尻を下げて)

「あなたに危険な思いはさせたくないの。分かって頂戴……?
一人前になるまで、あなたの事はお姉ちゃんが守ってあげるから……」

山城(と、柔らかく微笑むだけだった)

山城(私は姉様の荷物になっている自分自身が一番許せなかった。
なんとしてでも今すぐに姉様の力になりたかった)

山城(だから私はトレーニングを始めた。無論、艦娘になるためのトレーニングだ。
走り込みからウェイトトレーニング、果ては泳ぎの練習までした)

山城(いざとなればこの身ひとつで適性検査を受けに行き、姉様から離れようと思ったのだ)

山城(しかしそんなある日、
姉様が勤務先で暴力を振るわれ入院をしたという報せが届いた)

山城(『全治三週間ほどの怪我だが、後遺症が残るかもしれない——』
医師からの言葉に姉様は泣いていた。情けないお姉ちゃんでごめんなさい、と。
もし私が働けなくなったら、このお金を使ってね、と通帳を渡された)

山城(私は通帳を姉様のベッドに投げつけ、走り出した)

山城(犯人は勤め先であった艦娘用艤装工廠の工廠長。
私はそこで生まれて初めて人を殴った。激情に任せての何の計画性もない襲撃。
案の定、私はあっさりと憲兵に捕まり、拘置所に送られた)

山城(ただ、工廠にて一人だけ私を庇ってくれた青年が居た。おそらくは士官学校の学生だろう、小綺麗な海軍服を着た彼は私を取り押さえる憲兵に対し、自分も子供のくせに)

「まだ子供だろう!それにいきなり殴り掛かってくるなんて、何か理由があるに違いない!」

山城(と、当てずっぽうのくせにやけに意思の強い目で止めにかかっていた)

山城(今時、珍しい人間だと思ったし、興味も出た。
けれど、今は感情に任せて姉様に迷惑をかけてしまった事が申し訳なくてしょうがなかった)


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