過去ログ - 真姫「にこちゃんと夜空に架かる虹を見るわ」
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名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 20:50:00.96 ID:XL12Gej+0
彼女の火照った体をシャワーで洗い流しながら、私は彼女の家族がこんな様子を見たら何と言うだろうと考えていた。
◇◇◇
半年前、久しぶりに訪れた矢澤家で出迎えた彼女の母親は愕然とするほどやつれており、私は学業や仕事の多忙さを理由にして頻繁に訪れなかったことを後悔した。
以下略
13
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 20:53:51.99 ID:XL12Gej+0
私は高校生になるまで、両親に決められた道を進む以外の生き方を知らなかった。
反抗期らしい反抗期すらなかったその時期が、考えてみれば、もっとも幸せだったのかもしれない。
私は親の庇護という安心を、親は私をコントロール下に置くという安心を得て、蜜月の関係を築いていたのだ。
ある日突然その関係が壊れたのは、もちろんμ'sが原因だった。
以下略
14
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 20:54:58.67 ID:XL12Gej+0
医大を卒業した私は、父が当然のごとく用意していた自分の病院のポストを蹴り、大学病院の医局へと入局した。
高校生の時にできなかった、自分の道を自分で選ぶという決意だけとってみれば、ある意味進歩とも言えたかもしれない。
だが、結果は散々だった。
過酷な当直勤務と有り余る雑用、患者に冷淡な、自分の手術成績にしか興味がない医師たち。
以下略
15
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 20:56:49.53 ID:XL12Gej+0
◇◇◇
「西木野先生、ちょっと矢澤さんのことで気になることが……」
翌日、外来の合間に私に声をかけてきたのはにこちゃんを担当する言語療法士だった。
以下略
16
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 20:58:05.90 ID:XL12Gej+0
「夜と……虹?」
「この前、行きたい場所や見たいものは?っていう質問をしたんです。そうしたらこの二つを指さして……」
彼女が見せるのは、絵文字盤の黒い背景に星がまばらに描かれた夜空のアイコンと、青空を背景にした虹のアイコン。
以下略
17
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:00:57.68 ID:XL12Gej+0
◇◇◇
何日か後の夜。
「夜空に架かる虹、ねぇ……」
以下略
18
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:04:18.03 ID:XL12Gej+0
◇◇◇
「夜空に架かる虹?」
病院の近くのファミレスに呼び出してそんな質問を投げかけた私に、希は小首を傾げてみせた。
以下略
19
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:05:15.99 ID:XL12Gej+0
にこちゃんが倒れたときは、みんなにとってもちょうどそれぞれの道に進みつつある微妙な時期だった。
そのせいもあるのだろう。
これだけ音信不通なのはおかしいと思っているかもしれないが、それぞれの距離が遠のいたせいか、遠慮しているのか。
こうして彼女の話題が出ることすら本当に久しぶりのことだった。
以下略
20
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:06:38.44 ID:XL12Gej+0
「確か、南の方の島だと見えるって聞いたことあるなぁ。空気が綺麗で、スコールがざぁーって降って、真ん丸なお月さんが夜空を照らすと……」
さすがに希は博識だった。
μ'sの中では絵里の次に海外歴が長く、今は在宅の翻訳業をやっているだけのことはある。
ただ、私が聞きたいのはインターネットでも分かるような知識ではないのだ。
以下略
21
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:07:38.29 ID:XL12Gej+0
片側に垂らした髪を三つ編みにし、ざっくりしたニットの上からストールを羽織った格好の彼女は、かつての高校の制服を着ていた時と同じ大人びた目で私を見つめる。
以前と違うのは、かつてはミステリアスな深みをたたえていたその瞳が、今はどこか諦めたような暗さを感じさせる点だった。
「残念だけど、何でもお見通しの神秘のパワーは品切れなの。ごめんね」
以下略
22
:
名無しNIPPER
[saga]
2015/06/17(水) 21:08:40.34 ID:XL12Gej+0
「タロットのカードは何も予言なんかしてない。アレはただの記号よ」
「もし私に不思議な力があるように見えたのなら、それは……私がμ'sのみんなの事が大好きだったから。ずっとみんなを見ていて、みんながどうしたいのか、どうすれば一番幸せになれるのか……いつもそればかり考えていたから」
「私たちがバラバラになってしまった今では、もう神通力は使えないの。マジカル少女希ちゃんは閉店休業、……なんよ♪」
以下略
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