過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「ハナヨメ」
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12:名無しNIPPER
2015/06/20(土) 23:22:30.01 ID:EUGrH/Tp0
この一週間、万里花がどんなに今日という日を楽しみにしていたか。

身体が弱いくせに、無理して努力して、それで体調を崩しても秘密にまでしようとして。

それなのに。

万里花の気持ちを考えると、楽は思わず熱いものがこみ上げてきて言葉に詰まる。
それでもなお、言わずにはいられない。

「橘がどれだけ――」

「楽様」

うなだれる組員にさらに言葉を投げつけかけたその時、楽の服の袖をそっと掴みながら、万里花が声をかけた。
激昂している楽をなだめるように、顔に微笑みを浮かべながら。

「楽様、私のことなら大丈夫ですわ」
「で、でもよ、橘……」
「聞けばやむを得ない事情があるようではありませんか。こちらの方を責めてもどうなるというわけでもありませんし……」

ね? と、楽の肩に手を置いて、ニコリと笑う。


「楽様の素敵なタキシード姿を見られただけで、私は大満足ですわ。それに今週は楽様に色々とお付き合いいただきましたし……ですから」
万里花の気遣いが、添えられた手から直接伝わってくるようだった。

燃えるようだった心が、次第に鎮まっていく。
本当に、コイツは……。

「悪かったな、怒鳴ったりなんかしてよ」
楽から謝罪を受けた組員は恐縮することしきりで、頭を何度も何度も下げながら、式場の中へと戻っていった。


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