9:名無しNIPPER[saga]
2015/06/21(日) 13:37:26.88 ID:KKdbAala0
「君は自分の言い分が苦しいと理解した上で、理解していることを匂わせながら発言するのを止めたまえ。やる気が削がれる」
あー、と呻き声を上げながらソファに背中を凭れさせる先生。今の俺の発言はそこまで脱力を誘うようなものだっただろうか。
「もういい、君は君で君の問題点を自覚しているようだし、私も君に対する介入を諦める気は無い! ついてきたまえ」
先生は脱力していたその姿が幻影か何かに見えるくらい溌剌とした立ち姿で立ち上がると、俺の腕を掴もうと手を伸ばした。
「ひえっ」
驚いた俺は危うくソファ毎後ろに転倒する勢いで仰け反りそれを交わした。ふう、やれやれだ。こんな美人の年上の女性に触られるとかマジ勘弁だ。心臓が持たない。跳ね上がった心拍数を俺に教えるようにドキンコドキンコと耳障りな音を立てながら拍動している心臓に手を当てながら態勢を整える。平塚先生はさぞ充実した学生生活を歩んできたに違いない。でなければこれほどナチュラルに人に接触を図ろうなどとは思わないだろう。そしてそれゆえに俺のような初な人間の精神を解さないのだ。
「先生、あの先生みたいな美人にそういう事されると恥ずかしいんで勘弁して下さい」
俺の反応に固まっていた先生にそう弁解する。これだけ言っておけば俺の様な人間と二度と接触を持とうなどとは思わないだろう。そもそも二度目が有るだろうというのも自意識過剰な位だ。気持ち悪がってくれれば相手から離れる。こういう時平凡以下な俺の容姿は役に立つ。
「あ、あははは、あははははは。ば、馬鹿を言うんじゃない比企谷。い、今のは単に教師としてだな」
「いや、もう本当にそれだけでも凄く照れるんで」
俺の目論見通りに事が進んだかは分からなかったが、取り敢えずこの後物凄いスピードで歩く先生の後を追って、俺は部活棟まで行くことになったのだった。
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