25: ◆Pu7HnS2deE
2015/06/28(日) 11:32:44.02 ID:srMplXnbO
葉山は急かさない。
ゆっくりと俺が言葉を紡ぐのを待っている。こいつ俺のこと嫌いって言ってたじゃねーかよツンデレなの?
余計なことばかりに気が要って聞きたい事が出てこない。それはつまり、まだ俺自身が葉山にそれを聞いて良いのかと迷っているということでもある。
あの日、雪ノ下雪乃は多くを語らなかった。
雪ノ下陽乃を助けてほしい、それは間違いないのだろうが、彼女自身その理由も方法も知り得ない。ただただ俺たちに伝えるための言葉を探し、ついぞ見つけることが出来なかったのだ。
依頼として未だスタート地点にすら立てずにいる。
ならば、走り出すためにはこいつの協力が何よりも必要であることは自明だった。
自分が嫌になる、考えつく未来予想図が統べからず状況を悪くしてしまう気が、錯覚がある。
今、何を聞いても、俺は雪ノ下の依頼に正面から向き合うことができない、そんな錯覚。雪ノ下雪乃を知ることを怖れている自分がいる。そんなものはバレンタインデーの自問自答で清算したつもりだった。雪ノ下は強くない、そんなものは俺の理想で甘えだと。しかし、人間そう上手く断捨離出来るようには出来ていないらしい。
葉山「昔、俺は選択を間違えた」
ふと葉山が語り出す。それはとても優しく儚げな、遺恨を、歯痒さを噛み締めるような……
葉山「知らなかったんだ、あのころの俺は『葉山隼人』ではなかった。」
重い沈黙、葉山は何一つ教えないし、答えていない。しかしそれは葉山隼人が精一杯伝えてきた真実だった。
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