31:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:33:42.79 ID:BVZ5thB50
「伝えたいことがありまして」
いずるの深刻そうな物言いに俺は身構えてしまう。
春先にあった呼び名の件や里志との軽口を交えた会話を聞いていて
32:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:34:44.48 ID:BVZ5thB50
12時には家を出て待ち合わせ場所へと向かう。
パーティーと言っても昼飯を兼ねて軽く、というコンセプトで
1時半には解散する手筈になっていた。さっさと始め手短にすませるという非常に俺好みのスケジュールだ。
33:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:35:26.06 ID:BVZ5thB50
やがて会場に指定されたカラオケボックスが見えてくる。黄色に塗られた外壁。
取り付けられた看板はひたすらにデカくそのせいか、他の建物よりもひときわ存在感があった。
一旦の集合場所であるカラオケボックス前にいたのは、いずる一人だ。
34:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:36:07.55 ID:BVZ5thB50
今日は肌寒く、冷たい微風が吹いていた。
けれどいずるは身震い一つせず壁に寄りかかっていっている。
水玉模様のパーカーにジーンズという出で立ち。冬の装いをしているが
35:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:37:00.43 ID:BVZ5thB50
「まさかカラオケボックスとはな」
いずると横並びになる形で壁にもたれる。
ふざけ合っている女子大生風のグループが俺の傍らの階段を上がっていった。
36:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:37:51.53 ID:BVZ5thB50
三年生組はカラオケとはずいぶんご無沙汰らしい。
その中で俺のことを詳しく言うとすれば、カラオケはあまり好きじゃない。
というより音楽をあまり嗜んでおらず、流行の曲でさえも歌詞はうろ覚えというありさまだ。
37:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:39:09.05 ID:BVZ5thB50
「千反田先輩、お別れとかそういうの嫌がりそうじゃないですか」
いずるの言葉で閉じ込めていた疑問が湧いてくる。
「まあ多分、な」
38:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:40:09.87 ID:BVZ5thB50
「なあ、表情とか仕草とか、様子は違ってなかったか」
「んー。私はちょっと…見てないですねー」
「そうか」
39:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:40:52.17 ID:BVZ5thB50
「お前たせしました。さっそく行きましょうか」
千反田、いずる、伊原、里志、俺の順で階段を登っていく。
店員に通され部屋へ入る。
40:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:41:42.66 ID:BVZ5thB50
「注文、取りましょうか」
部屋に入ったいずるはメニューを引っ掴んで、があっと広げた。
大きな吊り目を輝かせメニューを見つめる彼女に伊原と千反田も追随する。
41:名無しNIPPER
2015/06/29(月) 11:42:47.54 ID:BVZ5thB50
注文をフロントに伝えさあ誰がトップバッターを務めるのかというとき
手を挙げたのは俺の予想した通り仙道いずるだった。
彼女の選んだのは随分昔の歌で曲名から察するに2000年だろう。
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