過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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352:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:45:38.28 ID:RYx/9kaJo
折本は元気な言葉と中学生の頃にも見た懐かしい笑顔を残し、階段を一段飛ばしで駈け上がっていった。

見たことのある屈託のない笑顔は、昔も今も俺に向けられたものではないということに気がついて、少しだけ虚しくなった。

階段を見上げる葉山に声をかける。
以下略



353:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:46:35.83 ID:RYx/9kaJo
その通りだ。一度壊れたものはもう二度と戻らない。どんなに修復して綺麗に戻したと思っても必ず隙間は残り、一度入ってしまったヒビや傷がなかったことにはならない。

できるのはその傷から目を逸らすか、いかに目立たなくするか、そのどちらかしかない。新しく作り直さない限りは。

「あっそ。にしてもだ、お前が謝るだけなら俺はいらんだろ」
以下略



354:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:47:57.87 ID:RYx/9kaJo
俺がしてほしいとかしてほしくないとか、そんなのは俺のエゴでしかないと言われている。葉山に言われるのは癪だし悔しいが、その通りだと思った。

俺も小さい頃は友達だっていたし、殴り合いのようなものではないが喧嘩だってしたこともある。

だから、謝ることができないと前に進めないことがあるというのもわかる。
以下略



355:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:49:08.51 ID:RYx/9kaJo
葉山は先ほどのものとは違う楽しげな笑みを漏らす。なにこいつ。嫌なやつって言われて喜ぶとかマゾなの?

「だろうな。……戻るか」

「ああ」
以下略



356:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:50:09.04 ID:RYx/9kaJo
「ははっ、うまく言っといてくれよ」

葉山は一色の好意が自分に向いていることをわかっているようだ。そういや前も困ってるとか言ってたな。

あいつ人によって露骨に態度変えるし、困る気持ちはわからんでもない。あざといし。
以下略



357:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:51:05.29 ID:RYx/9kaJo
「葉山君。……比企谷君も。二人とも、ちょっといいかしら?」

雪ノ下は俺たちの元に歩み寄ると、控えめに口を開いた。

「由比ヶ浜さんと一色さんからはもう了承をもらっているのだけど……。向こうの生徒会の人たちが、親睦を深めるために一緒に食事でもどうかって」
以下略



358:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:52:36.82 ID:RYx/9kaJo
「俺は……行くかな。今日顔見せできなかったから丁度いい。比企谷はどうする?」

「……行かねーよ。金もねぇし。もう帰るわ」

「そうか。じゃあまたな」
以下略



359:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:53:21.20 ID:RYx/9kaJo
「いらん。行かねぇっつってるだろ」

雪ノ下がビクッと肩を震わせて怯えた表情を見せる。

やめてくれ、なんでそんな顔をするんだ。いつもみたいに俺に反論して俺から言葉を奪ってくれ。
以下略



360:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:55:17.30 ID:RYx/9kaJo
別れの挨拶と一緒に雪ノ下は微笑みを向けてくれた。

その微笑みはとても優しいけど弱々しくて、俺の知っている雪ノ下のものとは違っているような気がした。

よく似てはいるが、別のものだ。
以下略



361:名無しNIPPER[sage sage]
2015/07/30(木) 22:56:09.74 ID:RYx/9kaJo
「あれ、先輩行かないんですか?」

「おお、空気悪くすんのもアレだし、金もねぇし。任せる」

「そいえばそうでしたね……。じゃあまたでーす」
以下略



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