過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
↓ 1- 覧 板 20
400:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:32:54.31 ID:3QzLARDco
「あ、あたしみんなの飲み物買ってこうと思ってたの。頑張ってるみんなにそのぐらいしかできないから」
「いいよそんな気の使い方しなくても。欲しけりゃ自分で買うだろ。飲み物ないわけじゃねぇんだしよ」
「んー……まぁそれもそっか」
401:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:33:57.42 ID:3QzLARDco
缶を持ってこれをどこで飲もうか迷っていると、やがてヒッキーと目が合ったので、えへへと意味のない愛想笑いを向ける。
「…………そこ、座るか」
すると、ヒッキーは顎でロビー隅にあるソファーベンチを指した。一緒に居てもいいみたいだ。
402:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:34:33.91 ID:3QzLARDco
「あはは、だねー」
うう。やっぱり近かった。調子に乗りすぎた。恥ずかしい……。
誤魔化すために紅茶を飲もうとしたものの、爪を切ったばかりでうまくプルタブに引っ掛からず、かつんかつんと乾いた音が数度響く。
403:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:35:16.65 ID:3QzLARDco
さっきまでの不安と葛藤を一時的に忘れて、コーヒーを飲むヒッキーの横顔を眺める。
今ヒッキーは何を考えてるんだろう。そんなことを考えていると、ヒッキーは目を前に向けたまま口を開いた。
「あのな、ちょっと相談ってか、その……少し気になってんだけどな」
404:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:36:00.32 ID:3QzLARDco
「ゆきのんが……どうしたの?」
そう言ったところで上から微かに足音が聞こえた。誰かが降りてくるみたいだ。ヒッキーはそちらのほうに視線を向けている。
「お、比企谷ー。あたし……っとと」
405:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:36:42.56 ID:3QzLARDco
あたしに謝ってくれたみたいだけど、畳み掛けるように話していたのでうまく言葉を返せず、首を横に振ることしかできなかった。
「うっせ。じゃあな」
「ま、またねー」
406:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:37:18.95 ID:3QzLARDco
気になるけど、踏み込む勇気も、聞きたくない答えだったらと考えると聞いて受け止める勇気もない。
今はさっきの続きを聞くことにしよう。中途半端だとこのままじゃ眠れなくなりそうだ。
「……さっき言いかけたの、なんだったの、かな」
407:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:37:53.98 ID:3QzLARDco
「あー、いや、それはわかるんだけどよ、今言ってんのはそうじゃなくて……。あいつなら玉縄とかがグダグダやってんのを突っぱねるかと思ってたんだけどな……」
確かに、それはあたしも感じていた。もっと強引に……というか、論理性と合理性を全面に押し出して、相手を説き伏せるようなことになるのかと思った。
けど今のゆきのんはそれをせず、調和を取ろうとしているように思う。それが悪いこととは思わない。
408:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:38:32.51 ID:3QzLARDco
「ううん、何も聞いてないよ。ゆきのん、あたしにはそういうのなかなか言ってくれないから……。そういうのは、たぶん……」
ヒッキーにしか相談しないと思うよ。
それは言葉にはならなかった。ゆきのんの信頼は今、ヒッキーのみに向かっている。悲しくて寂しいけど、たぶん、あってる。
409:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/05(水) 01:39:15.88 ID:3QzLARDco
「あたしも、聞きたいことがあるの」
「な、なんだ?」
ヒッキーはゆきのんのことをわかろうとしてる。あたしのこともわかろうとしてほしい。あたしもヒッキーのことを教えてほしい。
958Res/569.11 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。