過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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464:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:34:18.23 ID:3q9LfLs3O
「サッカー部のことだし、いろはだけで十分だよ」

「わ、わかりました。行きますー」

「オーケー。というわけだから、みんな、また明日」
以下略



465:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:34:56.11 ID:3q9LfLs3O
私は、葉山君はそういったことを避けているのだとばかり思っていた。

彼は今も昔もみんなの葉山隼人で、人の輪の中心にいて、いつも期待に応えてきた人だ。

だから、特定の人と噂になりかねないような行為は極力避けてきたはずだ。
以下略



466:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:35:49.60 ID:3q9LfLs3O
姉さんがいるので、二人に一緒に帰ろうとは言えなかった。

「じゃ、じゃああたしたちも帰ろっか」

「……おお、そうだな。またな」
以下略



467:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:36:32.88 ID:3q9LfLs3O
駅が見えてきたあたりで姉さんは立ち止まり、私に向かって振り向くとゆっくり口を開いた。

「雪乃ちゃんは生徒会長になってどうしたかったの?」

来た。こういうことを言われるとは思っていた。だから、言葉に力を、目に意思を込めて姉さんを正面から見据え、伝える。
以下略



468:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:37:04.89 ID:3q9LfLs3O
「違うでしょう?雪乃ちゃんにやりたいことなんて、あるの?」

「……違わない。私が、自分の意思で、そう決めて……」

「自分で決めた?そんなこと本気で言ってるの?雪乃ちゃん」
以下略



469:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:37:47.68 ID:3q9LfLs3O
彼が考えてくれた、用意してくれた新たな居場所を心地好く感じているのは事実だから。

二人と離れることも覚悟していたはずなのに、甘えてしまって三人が自然に居られる場所にすがりついたのは事実だから。

一緒に居るのに、理由なんか一緒に居たいからで十分だ。なのに、その意思を言葉にできず、伝えることができず、私は建前を、居場所を求めた。
以下略



470:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:38:20.67 ID:3q9LfLs3O
そう言いたいのに、吐き出されるのは空気だけで言葉にはなってくれない。

「違わないよ。議事録見たら今日の会議でも、雪乃ちゃんが決断できないから比企谷君に助けてもらって、隼人にフォローしてもらって。よかったね、みんなが守ってくれてるよ」

「私は……」
以下略



471:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:39:14.47 ID:3q9LfLs3O
姉さんは子供を叱りつけるような厳しい目で最後にそう言い放つと、素早く踵を返して去っていった。

私は自分の肩を抱き抱えたまま、俯いて地面を見ていることしかできなかった。


以下略



472:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:39:59.95 ID:3q9LfLs3O
誰もいない真っ暗な部屋に入り電気をつけると、すぐにずぶ濡れになった制服を脱いだ。

下着まで濡れていたので、洗濯機に放り込んでから頭と体を拭き部屋着に着替えた。

何もする気になれない。
以下略



473:名無しNIPPER[sage]
2015/08/10(月) 13:40:58.55 ID:3q9LfLs3O
初めて彼と会ったとき、私はこの世界を、周囲を呪うような発言をした。

今、その言葉を吐くのと同じ口で、愛しい人の名前を唱えている。なんて醜悪な矛盾だろう。

こんな人間が人のことを責めたり、人を好きになったりしていいはずがない。そんな資格、どこにもない。
以下略



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