過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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591:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:00:47.59 ID:HjDYW7MJo
あたしはわがままで贅沢で、……優柔不断で。友達はみんな大切で、みんな好き。でも今はちゃんと、一番大事なものは決まってる、かな。
だから、人のこと心配してる余裕なんてないんだけどね、ほんとは。
生徒会室まで早足で向かい、扉の前まで来たところで中から隼人くんの声が聞こえてきて、開けようとした手の動きが止まった。
592:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:01:31.63 ID:HjDYW7MJo
「…………あいつが、何から逃げてるんだよ」
「それは……。いや、俺も人のことを言えないか」
ど、どうしよう。なんか真剣な話っぽい。うわー、半端に聞こえちゃったから入りにくいな……。
593:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:02:13.97 ID:HjDYW7MJo
「会って一年にもなってないのに、感心するような独占欲だな」
「…………どういう意味だ」
「君こそ雪ノ下さんのなんなんだ。彼女のことを考えるのに君の許可がいるのか?」
594:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:03:06.17 ID:HjDYW7MJo
頭の中はぐちゃぐちゃで、痛いほどに心臓が煩くて、体の力が抜けそうだったけどなんとか堪える。部屋の中は不穏どころじゃなくて喧嘩になりそうな感じだ。このままじゃいけない。
「ゆ、結衣先輩っ、これ、まずくないですかっ?」
いろはちゃんにも今の会話は聞こえたみたいで、囁き声だったけど焦りが伝わってきた。
595:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:03:57.60 ID:HjDYW7MJo
「ぉおおち、落ち着いてくださいよ、葉山先輩。せせ、先輩も」
「……お前が落ち着け」
「いろはが落ち着いたらどうだ」
596:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:04:39.63 ID:HjDYW7MJo
あたしはみんなに仲良くしてほしいのに。あたしなんて、そんな都合のいいことばっかり考えてるのに。
バカなのかなぁ。こんなこと考えるの。
みんな仲良くなんて、絵空事なのかな。やっぱり、欲しがっちゃダメなのかな……。
597:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:05:54.49 ID:HjDYW7MJo
……何をやっているんだ、俺は。由比ヶ浜のこんな顔を見たくなくて、やりたいようにやってきたのに。
「…………すまん、由比ヶ浜」
「謝るのはあたしにじゃないよ……」
598:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:06:45.42 ID:HjDYW7MJo
「いや、仲直りも何も、俺とこいつは別に……」
もともと仲良しってわけじゃないし、仲違いするほどのことでもない。さっきはちょっと、こいつの言い方が気にさわって必要以上に頭に血が昇ってしまっただけで、ニュートラルになら放っておいてもすぐに戻る。
「比企谷」
599:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:07:24.12 ID:HjDYW7MJo
それに、気に入らない奴だが、昨日話した通りならこのイベントにおいて見ている方向は同じのはずだ。だったら今こいつが言った通り、先生の言っていた通り、うまくやることもできるに違いない。
まあ、それよりもなによりも、俺は由比ヶ浜や一色を悲しませたくない。葉山もそう俺にそう伝えようとしているのだと思った。
「……ま、これまで通りってことなら」
600:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:08:06.13 ID:HjDYW7MJo
「いいから、ヒッキー。はい」
由比ヶ浜は俺の袖を掴んでポケットから引っ張り出すと、力の入っていない俺の手を支えるようにして葉山へ向ける。葉山は葉山で気乗りしないのか、困ったような顔を由比ヶ浜へ向けたままだ。
「あーもう、葉山先輩も、はいっ」
601:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/31(月) 08:08:45.03 ID:HjDYW7MJo
「……善処するよ。な、比企谷」
「はいはい……。頑張りますよ、葉山さん」
取り繕った笑顔を作る葉山に皮肉を返してやった。よくもまぁそんなすぐに何事もなかったような顔ができるもんだ。
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