過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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679:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:40:21.49 ID:+XNzEMtGo
俺じゃなくて残念だと言われた瞬間、少しだけ胸が高鳴った。これは折本云々じゃなくて、あれだ。俺は可愛い女子からの好意的な言葉というもの全てに弱い。慣れてなさすぎ。
決して気が多いとか惚れやすいとか、そんなことはない。…………はずだ。
「俺が知るわけねぇだろ。葉山に聞け」
680:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:42:10.40 ID:+XNzEMtGo
「うん、バイバイ比企谷」
気まぐれに点いた街灯に照らされた折本の別れの顔は、打算や裏など微塵も感じさせない、屈託のない笑顔だった。
振り返ってペダルを漕ごうとすると、後ろから呼び止められる。
681:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:42:54.92 ID:+XNzEMtGo
「へぇー、スゴい自信だね。ま、頑張って」
「おお。自信はねぇけどな……まぁ、さんきゅ」
謙遜ではなく、実際に自信はこれっぽっちもない。自分の思いは決まっているが、相手がどう思うか、思っているかなんて俺にはまだわからないから。
682:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:44:13.55 ID:+XNzEMtGo
あんなの本物とは呼ばない。振られてからはずっとそう思い己の過ちと恥じていたが、さっきの折本の笑顔を見てそれは間違っていたのかもしれないと思い始めた。
裏など感じさせない、誰に対しても同じように接する折本のその姿に、笑顔に、俺は確かに惹かれていたのではないか。
それを恋愛感情だったと断ずることはできないが、過去の届かなかった思いをすべて偽物だったと否定するのは、ただの逃避に過ぎないのかもしれない。
683:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:45:56.17 ID:+XNzEMtGo
考えてもがき苦しみ、足掻いて悩め。───そうでなくては、本物じゃない。
そうか。足掻いて悩んで、そうして辿り着いたものは、それはきっと俺にとっての───。
684:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:54:54.46 ID:+XNzEMtGo
なんでも他人に相談したり頼ったりしたいわけでもない。基本は独りでやれるように、立てるようになるべきだ。
けれど、その上で誰かと並び立つこともできるはずだ。そしてそんなものを欲しがっているのなら、ぼっちを名乗るのはもう卒業しなければならない。
恋人がいなくても、親友と思える友人がいなくても、俺は人と繋がって生きている。
685:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:55:57.44 ID:+XNzEMtGo
どにちもみっちりやったはずなのに、さぎょうはおわるけはいがありません。
週が開けての月曜日。俺はまた講習室でパソコンをカタカタとやっていた。
なんかもう、なんなのこれ?俺の仕事多すぎない?雑用だと思って雑に扱ってない?
686:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:57:23.11 ID:+XNzEMtGo
賢者の贈り物。オー・ヘンリーの短編の一つで、実際クリスマス劇の基本みたいな感じらしい。
らしいというのは、なにぶん読んだり聞いたりしたのが随分小さい頃の話なので、ふわっとしか内容を覚えていないからだ。
確かやってたことはそんな小難しい内容でもなく、登場人物のすれ違いみたいな…………お?高度な皮肉か?
687:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 00:59:10.95 ID:+XNzEMtGo
葉山は園児を束ねる保育士の人と打ち合わせをしている。若い女性の保育士さんなのだが、相手が妙に楽しげに見えるのは気のせいか。
……葉山だからか、そうなのか。少なくとも俺だとああいう態度にはならないんだろうな。
くそ、うらやま…………けしからん。今俺が質問をしてそれに返してくれるのはExcelやWordに出てくる謎のイルカだけなのに。お前を消す方法……と。
688:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 01:00:16.58 ID:+XNzEMtGo
隅で黙々と天使のコスプレ作りを行っているようだ。一色がこまけぇこたぁいいんだよ!とばかりに天使の出演をとりあえずで決定させたせいです。
「よう」
「…………いい。大丈夫」
689:名無しNIPPER[sage saga]
2015/09/16(水) 01:01:11.46 ID:+XNzEMtGo
留美にはまだ負けられないな。俺には長年ぼっちを名乗っていた者なりの矜持がある。もう名乗るのはやめるつもりだが。
「……自慢することじゃないと思うけど」
「ああ、その通りだ。自慢できることじゃない。けど別にその経験が無駄だったわけでもない。まぁたまには一緒にやってもいいだろ」
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