過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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784:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:50:14.15 ID:eNgRSOWAO
「なんで他人事なんですか。先輩のおかげでもあるんですよ?」
「俺は別に、なぁ。俺じゃなくてもやれることしかやってねぇからな」
「いいえ、そんなことないです。そもそもなんですが先輩がいないと、この生徒会のメンバーになってませんから」
785:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:51:00.68 ID:eNgRSOWAO
先輩がわたしに生徒会長にならずに済むって言いにきたとき、そうしようかなって考えが頭に浮かんだ。
奉仕部がなくなるって、生徒会に移るって聞いて、わたしもその中に入れるのかなって思った。
「はー、そうなの……」
786:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:52:15.30 ID:eNgRSOWAO
「ちょっと、最後に台無しになるようなこと言いませんでした?」
「やー、それが本音なんだな」
先輩は悪びれることもなくろくでもない真実を語った。わたしのことを信じてくれてるのかも、とか思ったのに……。
787:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:53:18.89 ID:eNgRSOWAO
嬉しくて仕方がなくて、顔がニヤけてしまいそうになったけど必死に押しとどめた。
「……まぁ俺はどこまで行っても俺だからな。俺にしかならねぇよ」
「……そうですね」
788:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:53:52.37 ID:eNgRSOWAO
「結衣先輩と、雪ノ下先輩のことです」
先輩が驚いた顔でわたしを見つめる。わたし自信も驚きたい気分だ。これを聞いてわたしはどうしたいんだろう。
確認したって自分が傷つくことになるのはわかってるのに。
789:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:55:04.18 ID:eNgRSOWAO
なんでわたしは後押しするような、焚き付けるようなことをしてるんだろう。こんなことしたいんじゃなくて、外堀を徐々に埋めていくように慎重に近づいていきたいのに。
わたしはもっと周到で狡猾で、駆け引きも計算も上手だとか、そんな風に思ってたのに。こんなの、全然わたしらしくない。先輩たちと話すと、全然わたしの思うようにできなくなる。
……そっか。他人と真剣に向き合うって、計算とか打算でやれることじゃないんだ。
790:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:56:00.69 ID:eNgRSOWAO
「わかんないですかねー?わかりやすい人もいると思うんですけど」
「……俺は過去にそうやって何度もまちがってきたんだよ。勘違いを繰り返して、その度に嫌んなるほど後悔して、それでもう期待すんのはやめたんだ」
先輩は自分を責めるように唇を歪めながら話す。
791:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:56:53.96 ID:eNgRSOWAO
今先輩のためにわたしが何かできるとしたら、それしかない。
「なるほど。自己防衛のためなんですね、それは」
「ま、ただの腐った予防線、言い訳だ。それはもうしない。あとは……」
792:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:57:51.05 ID:eNgRSOWAO
先輩は言われた通りに黙って目を閉じて立っている。えぇー……なんか、無防備だなぁ。根はスゴい素直なのかな。
「まだか?」
いけない、早く済ませちゃおう。
793:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:58:36.35 ID:eNgRSOWAO
泡を食ったように狼狽えた先輩は、自分の唇の辺りで手をわさわさと動かしている。
「見てわかりませんか?わたしの指です」
わたしは人差し指を突き出して腕を伸ばしたままだ。
794:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/02(金) 12:59:30.88 ID:eNgRSOWAO
「そうです。だから、自信持っていいです。今の先輩は……素敵です。勘違いなんかしてません。ちゃんと、自分とだけじゃなくて、人の想いとも向き合ってあげてください」
ああ、言っちゃった。先輩は決まってて、人の想いと向き合っちゃったら、あとはもう。
「……そっか」
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