過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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866:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:22:29.47 ID:kAKMmD4ho
これが、持って当たり前でしょう?みたいな顔をされると嫌じゃボケぇとか思わないこともないが、当たり前に自分で持とうとされると俺がやらないといけない気がしてくる。つまり、俺は安いプライドで生きている。
ここまでが計算だったら怖いが、雪ノ下に限ってはそんなことはないだろう。だってあいつ不器用だし。困るな、不器ノ下さん通称ぶきのん。この名前だったらきっとドジっ娘属性がついてる。
葉山はさらりと流れるように由比ヶ浜と一色から袋を受け取っていた。こんなところでも俺と葉山の対応力の差が浮き彫りになる。だが荷物を持っているという結果は変わらないので悔しくなんかない。
867:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:23:17.39 ID:kAKMmD4ho
それから五人でカゴ二つがいっぱいになるほど食材やらなんやらを買い込み、荷物を抱えちんたら歩いてようやく雪ノ下ハウスへの到着となった次第だ。
「じゃあ……どうぞ」
複数の鍵を開錠して先に一人入った雪ノ下が、中からおずおずと俺たちを招き入れる。
868:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:23:54.93 ID:kAKMmD4ho
だから、少しずつでも埋めていこう。縮めていこう。今日、苦手な打ち上げなるものに参加しようと思ったのは、そのための第一歩だ。
「おぉー。結衣先輩が言ってたのはこれですかー」
「へへーん、折角のクリスマスだしねー」
869:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:24:43.80 ID:kAKMmD4ho
「雪ノ下さん、これ冷蔵庫入れるよね?」
「あ、ええ。比企谷君もこっちに来て」
雪ノ下についてキッチンに行くと、また明らかに一人暮らし用ではない大きさの冷蔵庫が鎮座していた。
870:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:25:30.97 ID:kAKMmD4ho
何をしているのかと思えば、間取りを確認していたようだ。え?来て最初にやることがそれなの?
一色はエレベーターで十五と書かれたボタンを押すときから大袈裟に騒いでいたが、部屋に入ってからのはしゃぎようはそれ以上だ。
「あー、でも一軒家も捨てがたいですね……。どっちがいいですかねー?」
871:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:26:18.60 ID:kAKMmD4ho
「構わないわよ。でも高いから気をつけてねー」
妄想にセルフ突っ込みをしていると、子供に注意を促すような澄んだ声がキッチンから聞こえてきた。
一色はそれを受けて、はーいと間延びした返事するとバルコニーへ足を踏み出す。
872:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:27:16.43 ID:kAKMmD4ho
「昔から家族ぐるみの付き合いがあるから、実家のほうはよく知ってるけどね」
「はー……幼馴染みってやつですよね。ちょっと羨ましいです」
「いろはにはそういう人はいないの?」
873:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:28:30.58 ID:kAKMmD4ho
一色からは、気を使いどこまでが踏み込めるラインか探っているような印象は受けない。
葉山からは、個人に関するあらゆる質問をはぐらかす見えない壁は感じない。
人の心は移ろいやすいと言うが、人の織り成す関係もまたしかり、ということだろうか。
874:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:29:32.35 ID:kAKMmD4ho
雪ノ下は飲み物を置くと、くすくすと笑いながらキッチンに戻っていった。挙動不審な俺を見て呆れたに違いない。恥ずかしい。
置かれた飲み物を飲んでいいのかもわからないので、座ったまま部屋を物色もとい見渡すことにした。
でかいテレビの下にあるデッキに目を向けると、以前見たディスティニィー関連のDVDが変わらずそこにあった。変わらずって思ったけどよく見たら増えているような気もする。
875:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:30:14.57 ID:kAKMmD4ho
「これ、由比ヶ浜が作ったのか?」
「作ったっていうか……あたしは乗っけただけ。さすがにあたしでもこれぐらいできるよ」
「へー……なんか、凄いな」
876:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:31:27.01 ID:kAKMmD4ho
「りょーかい」
由比ヶ浜が笑ってくれたことに安堵して、静かに全員が揃うのを待つことにした。
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