過去ログ - 奉仕部の三人は居場所について考える
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878:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:34:14.10 ID:kAKMmD4ho
「かんぱーいっ」
五人のグラスがテーブルの中央に集まり、軽く触れ合う小気味良い音が響いた。
本来の乾杯はグラス同士が触れないようにするものだとか、この場でそんなことはどうでもいいな。そもそも全員ソフトドリンクだしよ。
879:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:35:27.13 ID:kAKMmD4ho
「あ、ヒッキー。お菓子も買ってきたんだけどどれにする?」
見ればパーティーパックのような大きさの袋やら箱が大量に用意されている。由比ヶ浜が楽しそうなのは結構なことなんですが。
「いや、こんな食ったら晩飯食えねぇよ……」
880:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:36:17.74 ID:kAKMmD4ho
一色はもぐもぐとカナッペを頬張り、ウインクしながらサムズアップしてみせる。
……なんだそれ、可愛いな。そんな心憎いことをされたら食わないわけにはいかねぇだろ。
「よし、クリスマスっぽくはねぇけどキャベツ太郎にしよう」
881:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:37:25.99 ID:kAKMmD4ho
えーそんなー。俺もう開けちゃったんだけど……。
「くそっ、食うよ、食えばいいんだろ」
なんの因果か、打ち上げの場で一人でキャベツ太郎を食う羽目になってしまった。これは俺の黒歴史ノートに追加してもいいんじゃないですかね……。
882:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:39:19.99 ID:kAKMmD4ho
キャベツ太郎でお腹いっぱいにしてしまったらほんとに後悔しそうだ。ごめんなキャベツ太郎。
結局葉山も雪ノ下も食べ始めたので、割とすぐに売り切れてしまった。
食べるのが初めてらしく、恐る恐る口に入れていた雪ノ下太郎の感想は、狂暴な味、だった。
883:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:40:16.34 ID:kAKMmD4ho
されど楽しい時間というのは過ぎ去るのも早いもので、いつの間にかもう日が暮れ始めるような時刻になっていた。
女子陣は夕食後に出されるケーキ作りのためキッチンに集まっており、はしゃぐ声とたまに悲鳴のような悲痛な叫びが聞こえてくる。不安にさせないでもらえますか。
ちなみに夕食は昨日の話し合いで鍋とチキンに決まっていた。
884:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:42:09.97 ID:kAKMmD4ho
「私は今日は監督のみよ。昨日嫌になるほど作ったからもう作りたくないわ」
「そいやそうだな。……あいつらだけで大丈夫か?」
一色はともかく、先ほどの悲鳴の主でもある由比ヶ浜は。
885:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:43:16.79 ID:kAKMmD4ho
目だけを向けて表情を見たが、その言葉の意味するところはわからなかった。
「比企谷、ケーキ作りを見てきたらどうだ?俺はさっき見てきたけど頑張ってるよ、二人とも」
「……そうね、少し見てあげるといいんじゃないかしら」
886:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:44:24.86 ID:kAKMmD4ho
知ることは怖いが、知らないでいることはもっと怖い。知らなくていいことが世の中にたくさんあるのもわかっている。それでもなお、気にならないと言えば嘘になる。
だが二人には二人の関係がある。
これは雪ノ下と葉山だけじゃなくて、葉山と一色、俺と由比ヶ浜、由比ヶ浜と雪ノ下。五人がそれぞれに別々の、独自の関係を持っている。そして俺が全てを知ることは決してできない。
887:名無しNIPPER[sage saga]
2015/10/17(土) 16:45:09.54 ID:kAKMmD4ho
それはきっと、これからわかる。
一一一
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