過去ログ - 紬「カチューシャ、前髪を上げて。」
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32:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:32:04.51 ID:CuC+Dd1t0
作りすぎて残ったカレーはタッパーに移し替えて冷蔵庫に入れた。
お風呂は運動部が合宿につかう宿泊施設に備え付きの浴場を借りた。
湯船はちょっとした銭湯みたいなサイズでみんなでバカみたいにはしゃいだ。
スポーツ強豪校でもないのに、ここまで優遇された設備があったなんて。
33:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:33:09.43 ID:CuC+Dd1t0
◆ ◆ ◆
はるか先まで続いているような廊下の端に、かたつむり。
いつの間にどこから入り込んでしまったのだろう。
34:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:34:11.88 ID:CuC+Dd1t0
廊下の窓から眺める景色はいつもと何も代わり映えしない。
校舎内はいつでも薄暗い。目が覚めたときも、朝なのか夕方なのかわからない。
ケータイの電池はとっくに切れた。
35:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:35:22.57 ID:CuC+Dd1t0
「本当に大変な事態なんだったら、とっくに助けがきてるさ」
へらへらと気楽に律は言う。
36:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:36:07.13 ID:CuC+Dd1t0
「澪ちゃんは今日、何する予定?」
「わたしは・・・そうだなぁ…」
37:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:37:00.06 ID:CuC+Dd1t0
校庭の桜の木はどれだけ激しく雨に打たれても葉を落とすことがないのか、
前後に揺れている緑色がぼんやりと見えた。
「やっぱりわたしもプールに行こうかな」
38:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:38:01.80 ID:CuC+Dd1t0
悪戯めいて笑う。
わたしはムギに背を向けて歩き出した。
「プール?そっちじゃないよ?」
39:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:38:33.00 ID:CuC+Dd1t0
潤んだ瞳がきゅっと細くなった。
「……一生会えなくなるわけじゃない」
40:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:39:47.08 ID:CuC+Dd1t0
◆ ◆ ◆
今まで何度だって、外に出ようとしたことはあったんだ。
けど、ごうごうと風にあおられた扉を見るたび、こりゃ外に出られそうにないな、と諦めた。
それが今日はどうだろう。
41:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:40:31.32 ID:CuC+Dd1t0
「ねぇ。覚えてる?」
42:けいおんSS[sage saga]
2015/07/01(水) 22:41:15.22 ID:CuC+Dd1t0
◆ ◆ ◆
降り続ける雨がより一層勢いを増して、まるで世界を洗い流すようなスコールになった。
豪雨に押しつぶされてしまないよう、必死に傘の柄の部分を両手でギュっと掴んで、重さに耐える。
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