過去ログ - 万里花を愛でるニセコイSS「モウドク」
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9:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:21:32.91 ID:Hi1Nl0Jz0
「橘はホントすげえよな。料理の腕も手際もいいし、こうやってちょっとした気遣いも忘れてねえ。俺も料理や家事は得意なつもりだったけど及びもつかねえよ」
「あら、このぐらいのこと、楽様の許嫁としては当然のことですわ」

お皿に掛けられたラップを外しながら、こともなげに万里花が応える。

以下略



10:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:22:29.30 ID:Hi1Nl0Jz0
興味のあることにしかそのエネルギーが向かないだけで、万里花は実際は頭も要領も非常によい。
そのフグの試験も気合いと努力で乗り切ったのだろう。

実際、最近は学力もメキメキと伸びているのだとか。その理由が自分と同じ大学に行くため、というのだから、楽としては呆れながらも頬を染めずにはいられなかった。

以下略



11:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:23:33.42 ID:Hi1Nl0Jz0

「も、猛毒!?」
南の島で見た、万里花が倒れ臥している姿が楽の脳裏をよぎる。
そんな心配を読み取ってか、万里花はニコリと笑みを浮かべながら言う。

以下略



12:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:24:32.78 ID:Hi1Nl0Jz0
「一度それを知ってしまえば、もう二度と元に戻ることはできません。愛する人のためならば、どんなことだってできる。愛する人のためにこそ、生きる意味がある。胸は焦がれ、その身は震え、その愛を失うようなことになれば、きっと呼吸をすることだってできなくなってしまう……」

少しだけ芝居がかかった様子に照れたのか、くすりと笑う万里花。

「……なんて、そんな風になってしまうものなのですわ。それにフグの毒もそうですけれど、愛にも特効薬はありませんから」
以下略



13:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:25:14.57 ID:Hi1Nl0Jz0
「楽様は楽様のペースでよろしいのです」

抱きついたまま、まるで楽の心を見透かしたように万里花が言う。

「私はたまたま、昔に楽様からいろいろなものをいただいて、それからずっと、一人で考え続ける時間が長かっただけですから。楽様もきっと、そのうち愛を知って、その毒が身体中に回る時が来るはずですわ」
以下略



14:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:26:38.27 ID:Hi1Nl0Jz0
鍋も、フグ飯も、天ぷらも、その味はまさしく絶品だった。
これは自分たちの分を残さず平らげられても仕方がないと、楽も納得せざるを得ない。

向かいでは幸せそうな表情で、万里花をぱくぱくと料理を口に放り込んでいる。
九州の一部やフグの本場下関では、縁起をかついでフグのことを「ふく」という、と料理をしている最中に万里花が教えてくれたけれど、まさしく食べた人に福を運んでくる幸福の魚に違いなかった。
以下略



15:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:27:46.37 ID:Hi1Nl0Jz0

そっけない自分の反応にも本当に嬉しそうに笑う万里花の笑顔を見ていると、頬が火照り、胸がドキドキする。
まるで全身が痺れたようで、呼吸が苦しくなって――。


以下略



16:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 00:29:56.46 ID:Hi1Nl0Jz0
本誌に合わせてたまにはマリーのターン!


17:名無しNIPPER
2015/07/02(木) 18:25:58.73 ID:co+UgDEH0

マリーさんが幸せそうな話を読めてこっちも幸せな気分になれたぜ


18:名無しNIPPER[sage]
2015/07/03(金) 18:14:03.79 ID:SqZ1QeRho
乙 タイトルからしてどっちかが毒に罹ってテンヤワンヤかと思いきや
何事も無く?終わってくれてよかった


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