1:オータ ◆aTPuZgTcsQ
2015/07/04(土) 14:15:41.66 ID:kHvSRcn3O
彼女は川原に立っていた。 
 そばにはセロハンと色とりどりの画用紙で組み立てた、UFOが一台。 
 煙を吐き出して、小学生の工作のような船体を汚していた。 
  
 俺は関わりあいたくないのに、彼女の方を見た。 
 頭が痛くなるような真っ白な服は、なにかの作業着のようだ。 
 銀色の長い髪が、風でフワフワ揺れていた。 
  
  
 「こんにちは」 
  
  
 彼女は俺を見て、俺に語りかけた。 
 逃げれば良かったものを、俺は懐かしい人を見るように彼女を見た。 
 空はまだ日がのぼっておらず、辺りを青白く染めている。 
 彼女は当たり前のように、俺のそばに歩いてきた。 
  
  
 「帰りましょう、あなたの家に」 
  
  
 にこりともせず、冷たい目のまま彼女は俺の隣にきた。 
 俺はなにも喋れなかったので、ただ彼女を受け入れた。 
 今の俺には、彼女は天使にも悪魔にも見えた。
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2:オータ ◆aTPuZgTcsQ
2015/07/04(土) 14:17:52.02 ID:kHvSRcn3O
 ひんやりと冷たいフローリングに、足を下ろす。 
 素足でぺたぺたと歩く俺は、彼女を連れて自宅に帰ってきていた。 
 そういえば、彼女は靴を脱いだのだろうか。 
 見てみると、白い華奢な足が作業服の下にのぞいている。 
 そっと振り返ると、玄関には真っ白な靴が並べられていた。 
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