1:オータ ◆aTPuZgTcsQ
2015/07/04(土) 14:15:41.66 ID:kHvSRcn3O
彼女は川原に立っていた。
そばにはセロハンと色とりどりの画用紙で組み立てた、UFOが一台。
煙を吐き出して、小学生の工作のような船体を汚していた。
俺は関わりあいたくないのに、彼女の方を見た。
頭が痛くなるような真っ白な服は、なにかの作業着のようだ。
銀色の長い髪が、風でフワフワ揺れていた。
「こんにちは」
彼女は俺を見て、俺に語りかけた。
逃げれば良かったものを、俺は懐かしい人を見るように彼女を見た。
空はまだ日がのぼっておらず、辺りを青白く染めている。
彼女は当たり前のように、俺のそばに歩いてきた。
「帰りましょう、あなたの家に」
にこりともせず、冷たい目のまま彼女は俺の隣にきた。
俺はなにも喋れなかったので、ただ彼女を受け入れた。
今の俺には、彼女は天使にも悪魔にも見えた。
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