4:オータ ◆aTPuZgTcsQ
2015/07/04(土) 14:19:58.02 ID:kHvSRcn3O
俺がたどり着いたスーパーの中は、じんわりと蒸し暑く、来店した客が文句をつけるほどだった。
空調の設備はあるものの、社員は金をけちり、しわ寄せは俺みたいな下っぱに回ってくる。
だからどうしたと言うわけでもない、いつもの日常だ。
俺はこの年になっても定職につかず、スーパーでレジ打ちと品出しを続けていた。
「いらっしゃいませ」
今日も店の中は灰色で、商品の色鮮やかなパッケージは、色を生ぬるい湿気に溶かしてしまったようだ。
客はこの店にそれほどの期待はしてない。
俺も、なにも期待などしていない。
ただ俺は時間をやり過ごし、生きていくために金を稼ぐだけだった。
「ポイントカードはお持ちでしょうか?」
何度繰り返したか分からない言葉は、昨日と代わらず温度がなかった。
なにもかも、昨日と今日に差はなかった。
どうせ、世界なんてこんなものだ。
俺がなにを思おうと、なにをしようと、視界に映るものはうすぼけた灰色で、なにも代わり映えはしなかった。
所詮、俺はなにも望んではいないのだけど。
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