3:オータ ◆aTPuZgTcsQ
2015/07/04(土) 14:18:55.46 ID:kHvSRcn3O
次の日、目を覚ました俺は隣でたたずむ彼女の姿を見つけた。
微かにさしこむ朝日の光を受けて、彼女の髪はキラキラと輝いていた。
俺は少し見とれていたのだろうか。
視線に気がつき、彼女は俺に言った。
「朝日が綺麗ですよ」
重い体を座布団の上でひねり、俺も窓の外を見た。
見るはずのなかった太陽がキラキラと輝いている。
俺は馬鹿馬鹿しいと思った。
「太陽なんかどうでもいいじゃないですか。
あんなの燃えてるだけですよ」
「でも、あなたは朝日が好きでしょう」
俺はなにも言い返せなかった。
もうそろそろ仕事の時間だ。
俺は朝食の準備を始めることにした。
「今日は休んだらどうですか?」
「きっと、今日休んだら二度と行こうと思えなくなります」
一応、器を二人分用意して、一応飯を盛り付けた。
驚くことに彼女は食事を始めた。
空になった器を左手に、俺は自分の腹をじっと見る。
今の俺には、なにもわからなかった。
「行ってらっしゃい」
俺を見送る彼女に微笑みなはない。
なのに俺は酷く安心して、自分が情けなくなった。
職場から支給された透明なビニールのカバンの中身は、今日もぐちゃぐちゃだった。
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