6:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2015/07/04(土) 14:22:01.02 ID:kHvSRcn3O
彼女はいつまでウチにいるつもりなのだろう。
そう言えば、あのUFOはどうなったのだろうか。
彼女に見送られた俺は、何気なく川原に足を運んだ。
だが、そこにはもうなにもなかった。
誰かが処分したのか、最初からなにもなかったのか、俺にはどうでもいいことだった。
少し遠回りになった道をだらだらと歩きながら、俺はバイト先へと向かった。
「おはよう」
パートのおばちゃんが、俺にいつも通りの笑顔を向ける。
俺もいつも通り笑った。
「おはようございます。今日も暑いですね」
「そうねー。食中毒には気を付けなさいよ。
今の季節、なんでも腐っちゃうから」
「はい」
会話はそれで終わる。
特に変わらない日常の中で、俺はまたねずみ色の世界を見ていた。
あそこにいるカップルには、この世界は色鮮やかに見えるのだろうか。
あっちで走り回ってる子供の親は、ママ友とのお喋りが楽しくて仕方ないのだろうか。
俺は、ただ羨ましいなと思った。
「袋の代金、五円頂きます」
袋もお金がかかるの?と客は渋い顔を作る。
俺は心底申し訳なさそうに頭を下げた。
こうして謝っている時間が、一番生きている実感があった。
情けない人生だ。
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