過去ログ - 男「宇宙人に会った」
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8:オータ ◆aTPuZgTcsQ[saga]
2015/07/04(土) 14:24:39.94 ID:kHvSRcn3O
次の日、早くに目を覚ますと彼女は昨日と同じ姿勢で、壁に体を預けて空を見ていた。


「眠ってないんですか?」

「眠りたくないんです。寝たら、あなたがいなくなってしまうから」


大げさな返事はなにを意図したものか分からない。
俺がいなくなれば自分も消えてしまうから、心配しているのだろうか。


「身勝手な人ですね。もうそろそろいいでしょう。
出ていって下さい」


この会話になにも意味などない。
彼女は戻ろうと思えば、いつでも俺の前に現れることができるのだ。
しかし、彼女は丁寧に頭を振った。


「いい加減にして下さい。迷惑です」

「私は、あなたを一人にしたくありません」

「言ったでしょう?僕は今でも一人ですよ。
今までも、これからも僕は一人です」

「いいえ。あなたが孤独になったから、私は来ました」

「はい?」

「あなたはご両親に愛されていました」


この何日かで、彼女は俺の心の隙間に潜り込んでいた。
そのことに今更気がついて、俺は彼女を睨み付けた。


「アンタになにが分かるんですか。
それとも全てお見通しなんですかね、やっぱり」

「いいえ。しかし、これだけは言えます。
お父様やお母様や妹さんに、あなたは愛されていました」

「……バカなことを言わないでください。
僕だけ生きているからですか?
それを愛と言うなら、そうなのでしょうね」

「違います。あなたは本当に愛されていた」

「ふざけるなよ。しつこいんだよアンタは。
俺の父親は家族を殺したんだぞ。
俺だけを残して、みんな死んだ。
父親も死んだ。生き残ってるから俺は愛されてなきゃいけないのか?」

「そうです」

「なにをバカな……」

「しかし、今はあなたは孤独です。だから、私は会いに来ました」


どこかのアホなオウムのように、彼女は下らない言葉を繰り返した。
あの馬鹿げた鳥の方がまだマシかもしれない。
あの鳥は言葉の意味を理解せず喋りまくっているだけだろう。


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