過去ログ - 盗賊「コインの表と裏」
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64: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/07/20(月) 02:30:13.29 ID:IVe03aaio

盗賊「…………くっ」

盗賊は柱に隠れつつ、隙を伺うしかなかった。やはり、弱点はないのか。

僧侶「魔法使いさん! 大回復魔法!」

魔王「良い判断とは言えないぞ―――我を前に、目を逸らしても良いのか?」

僧侶へと漆黒の腕が振るわれる。
しかし、それを阻止せんと勇者が立ちふさがる。

勇者「させない……! 僧侶、魔法使いの回復を続けて!!」

僧侶「はい!」

魔王は邪悪な微笑を浮かべて、ちらりと盗賊を見た―――やはり気づかれていたか。

魔王「鼠よ。我の隙を伺っているのか? くく、一匹だけどうやらレベルの低いものが居る様だな」

勇者「…………僕の仲間を、馬鹿にするんじゃないよ」

勇者が剣を振るう。その言葉が、どれほど辛いか。

魔王「本心か? そうではないだろう、勇者……貴様は、あの鼠を疎ましく思っているのだろう?」

勇者「そんな事、ないさ――謀るか、魔王!」

魔王が笑う。盗賊は二人の言葉を一切聞かず、弱点を探す事に徹する。
手には真紅の刃を持つダガーがあった―――これなら、一度限りだが致命を負わせられると思っていた。



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