過去ログ - グリP「先輩と」モバP「先輩」
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26:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:55:32.47 ID:d3Zd/SN00
グリP「……岡崎、泰葉?」

 プロデューサーはふと思い浮かんだ名前を呟いた。いや、だが、そんなことが? そう言えば彼女は今、アイドルをやっていると聞いた。でも、それがどうした? そもそも、桃子と岡崎泰葉に何の接点が――

グリP(……あっても、おかしくはない、か)
以下略



27:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:56:19.31 ID:d3Zd/SN00
09


「おかえりなさい、泰葉さんっ」

以下略



28:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:57:20.65 ID:d3Zd/SN00
 悠貴さんは私の後輩だ。『芸能人』として、というだけではなく、『アイドル』として、そして『モデル』としても後輩にあたる。同じモデルをやっていたということもあってか、以前仕事を一緒にした時から彼女は私を慕ってくれている。

 ――慕われる資格なんてあるの?

泰葉「っ!」
以下略



29:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:58:16.83 ID:d3Zd/SN00
10


 桃子ちゃんとの初対面は衝撃的なものだった。少なくとも、私にとっては。

以下略



30:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:58:46.69 ID:d3Zd/SN00
 それがこの業界なのだ。良い顔をしておいて損はないが、能力さえあればどれほどの悪人でも許される。

 もちろん、あまりにも権力を持っている人に嫌われたりすれば干されるし、好かれれば過剰に押されたりはする。そういった関係から能力がないくせに威張っているような人ももちろん居る。

 でも、そういった例外を除けば、この業界は実力こそが優先される。『力』があるかどうか。それこそが大事な世界なのだ。
以下略



31:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 15:59:47.95 ID:d3Zd/SN00

 でも。

 周防桃子。

以下略



32:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 16:00:58.57 ID:d3Zd/SN00
 でも、少なくとも『ここ』に来ているということはある程度の実力を持っているはずだ、と私は思っていた。だから、監督が『本当に欲しいと思っている絵』を形にするためならば、彼女の言う通りにした方がいいだろう、と。
 何度かリテイクをしなければならないかもしれないが――あるいは、それこそが監督の忌避するところだったのかもしれないが――それでも、監督の言っていたものよりは良いものができる。私はそう思っていた。

 だから、私は助けに入った。いくら正論でも彼女の言葉では届かない。何の実績もない子どもの言葉は届かない。でも、私の言葉なら届く。

以下略



33:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 16:01:59.63 ID:d3Zd/SN00
 どうして、あの監督にあんなことを言えたのか。どうして、大人の人に自分の意見を言うことができたのか。

『子どもだから』という答えならばそれで納得できる。『この業界のことを知らなかったから』という答えならば。
 でも、彼女の反応を見ている限りだと、そうではなかった。この業界のことをある程度理解したその上で、彼女はあんなことを言ったのだ。
 それが、どれだけすごいことか。……少なくとも、私には、絶対にできないことだった。
以下略



34:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 16:02:33.26 ID:d3Zd/SN00
桃子「というか、それを言うなら泰葉さんの方がすごいでしょ。あんなことを言えるなんて……本当に、すごいよ」

 違う。

 私はあなたが言うほどすごくない。私には、あなたみたいなことはできない。
以下略



35:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 16:03:25.19 ID:d3Zd/SN00
桃子「もしかしたら降ろされていたかもしれないのに……それなのに、あんなことを言えるなんて。本当に、すごいよ。かっこよかった」

 降ろされる可能性……それは、ほとんど考える必要がない。

 なぜなら、監督はわかっている。いくら性格に難があるとは言っても、彼は『作品作り』に対しては真摯な人間だ。その時点で、彼は私を降ろすことができない。
以下略



36:名無しNIPPER[saga]
2015/07/16(木) 16:04:15.32 ID:d3Zd/SN00
 この業界で生き残るために必要なものは力だと教えてもらった。だから私は力を付けた。演技力を身に付けた。『演技』に必要なものを出来る限り身に付けた。どうすれば演技が上手くなるのか。そうすることで大人の期待に応えられると思った。大人の人たちの言う通りのことができるようになると思った。

 結果として、私は子役としての地位を確立した。大人の人たちの言うことを聞いて、その通りにすることができるようになった。

 私は大人の人の言うことを聞いただけだった。今、それができる力を付けたことすらも、大人の言うことを聞いた結果でしかない。自分の意志でしたことなんて、何も、ない。
以下略



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