22: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/23(木) 10:41:55.59 ID:GZmeom5L0
「うーん……どうしてですか?」
伊勢さんは作業の手を止めていた。私も話の内容から片手間に聞くということができなかった。
「航空戦艦がそもそも時代にそぐわない気がしてる。戦艦にも空母にもなれない中途半端さでさ」
「でも瑞雲はいい機体だと思いますよ……?」
「でも瑞雲ぐらいしかまともに運用できないのは問題だよ。たまに思うんだ、飛行甲板を捨ててその分に電探や逆探積んで索敵情報を管制運用したり、敵の電子網を阻害できるような……電子戦艦かな? とにかく航空戦艦にこだわる必要はないと思ってるのよ」
「でもそれじゃあ……自分のそれまでの積み重ねを否定することになりません?」
「見ようによってはそうなのかもね。あたしはそんな風に考える気はないけどさぁ。航空機のことも多少分かるようになったし」
朗らかに笑ってるのに伊勢さんは重たくなりそうな話をぶつけてくる。
「それで大鯨はどう思う?」
「それって……私が決めていいことなんですか?」
「それもそうだね」
初めから自分のことも決められない私に訊くようなことじゃないのに……。
「大鯨は悩んでそうだから、逆にいい答えを出してくれそうな気がしたんだよ」
「逆じゃないですか、そういうのって?」
「どうかな? 悩むのは現状を良しとしてないからだろうし、自分が見えてなきゃ悩みも抱えないと思うけど、違うかな?」
「……分かりません。悩みなんてない方がいいと思いますから」
「あはは、確かにそうだよね。まあ、あたしみたいな年長者ポジションみたいに据えられたやつでも悩む時は悩むし、簡単には決められないこともあるんだよ」
……あれ? もしかして、私のほうが気遣われてたの?
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