4: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/21(火) 10:48:26.59 ID:7uNH2Jhi0
厨房から出て行く前に、鳳翔さんがそばを茹ではじめるのを視界の隅に入れた。
鉄の扉をくぐってすぐに足下が大きく揺れ、足をすくわれそうになって壁に慌てて手をつく。
揺れが弱くなってから足をゆっくり伸ばして安全確認してから、気を取り直して歩き出す。
私たちが今いるのは輸送艦『八雲』の艦内になる。
外洋航行の訓練は私たちも受けているけど、実際に私たちだけで出撃したり遠征するのはかなり大変。
そこで私たち艦娘の展開を支援するために建造されたのが出雲級の高速輸送艦だった。
基準排水量8500tで最高速力は32ノット。武装はないけれどキッチン周辺は最新鋭の設備なので居住性の高さがうり。
整備施設やラウンジを有して、それに通信機器も新しいから指揮機能にも優れている。
他にも初めから艦娘が乗り込むのを前提としているので、艦首部分が開閉してそのまま出撃できるようになっている。
この輸送艦をあまり他人事に感じないのは私が潜水母艦だからなのかも。
外洋進出、特に北方や南方に向かうなら絶対に必要な艦がこの出雲級。
ボトムヘビーで復元力が強い分、ちょっとの波でも揺れるのが珠に疵ですけど。
八雲は出雲級の二番艦で、他の同型艦よりも整備施設が充実してる。
夕張さん率いる新型兵装の実験艦隊に八雲が当てられたのは、この辺の理由がありそう。
現在、夕張艦隊は各種兵装の運用試験を行う傍ら、東オリョール海域を巡って各地から原油などを回収する任にも就いていた。
元来は鎮守府近海でしか活動してないけど、別に行っている航空戦艦の運用演習の支援も必要になったのでこうして外洋に繰り出していた。
この艦にいるのは私と鳳翔さん、それに夕張さんと潜水艦隊の四人。後は艦長や機関部要員などの人たちに妖精さんも乗り込んでる。
鳳翔さんが言っていた「みんな」は艦娘を指している。艦内全員分の食事は用意するけど食べる時間は分けられているから。
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