9: ◆xedeaV4uNo[saga]
2015/07/21(火) 10:56:15.29 ID:7uNH2Jhi0
「大丈夫ですよ」
鳳翔さんに優しく微笑まれると胸がドキドキ高鳴っているのに気づいた。
でも、これが高揚なのか不安のせいなのかは私自身にも分からない。
「引き方は教えますから気楽にやってみてください」
「……分かりましたぁ」
私がどうしたいのかは全然分からないけど、鳳翔さんの頼みは断れなかった。
流されているとは思うけど、鳳翔さんの指導を受けながら練習用の矢を何度も射る。
初めは姿勢も定まらなかったのに、なんとなく形が掴めるようになってきた。
「お上手ですよ」
「えへへ……鳳翔さんの教え方が上手だからですよー」
それでもしっかり飛んでいく矢を見ていると満更でもない気がしていた。
弓を撃つのって思ってたよりずっと簡単なんだ。
「いいですね。次はこの零戦で試してみましょう。引き方は同じでも、今度はこの子の翼を解き放つよう集中して意識してください」
「それだけですか?」
「それだけです。言葉にしてみると簡単、それか大雑把に聞こえますよね」
おかしそうに鳳翔さんは笑うけど私としては困ってしまう。
とにかく弓を構えてそれまでの要領で零戦になる矢をつがえる。
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