過去ログ - 提督「この世界にいらないもの?」
↓ 1- 覧 板 20
16:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:42:55.96 ID:NYc+OQMZ0
一般論から急に矛先が自分個人に向いたことに夕立は微妙な表情を見せた。日常的なバカ話というのは、自分には無関係だと思えるからこそ、突拍子もなく一般を馬鹿にしたり笑ったりで楽しめるものだ。自分をその一般の中に参入させて話しているわけでない。もし自分に関わりのあることだと注意しながら話すのならば、もっと慎重になったであろう。
野となれ山となれと適当に口走った命題を自分に適用されることに些か不満げな顔を夕立は隠そうともしなかった。でも、もしかしたらデザートのアイスクリームで頭痛をおこしその痛みで厳しい表情を見せているだけかもしれないとも時雨は思った。
時雨には時折夕立が何を考えているのか判断しかねることがあった。そもそも何も夕立は考えていないのではないかと考えることもある。そう思うと次には妙に気を利かしたこともするしで、よくわからない。
犬。そう犬と一緒にいるみたいな。時雨が夕立を犬と称することで何かの蔑視を含むことはなく、その意図はただ同じ艦娘なのに異種と話している気持ちになることを示そうとしている。人懐っこくて素直なのだけれど、しばしば冷たい態度を見せる。しかも夕立自身は意識せずにごく自然な振る舞いの中でそれを見せる。時雨がそれで気分を害することはなかったが、自分とは異なる法則の下で生きているかのように思える「自由」な振る舞いは注意をひいた。
だから、夕立が恋に悩んで四苦八苦している様子は時雨にとって夕立も同じ艦娘なんだなと改めて認識させてくれるものだった。とうぜん時雨はそれ以前から夕立を同じ艦娘だと思ってきたし、戦友として扱ってきた。でも、その再認識で時雨自身が気づいてなかった夕立との距離を同時に知ることができた。
だから、時雨は夕立の恋を応援したいと思った。「だから」というのもおかしな話で友人の恋愛を応援するのは理由などなくてもいいはずだったが、時雨はそれでも何か理由をたてて密かに応援した。もしかしたら時雨も提督のことを好ましく思っているのでそういった不要ともいえる手順を踏んで初めて良き友人として応援できるようになったという経緯があったりしたのかもしれない。
40Res/37.77 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。