過去ログ - 提督「この世界にいらないもの?」
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20:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:45:54.72 ID:NYc+OQMZ0
親友である時雨がどうもおかしいと夕立の異変に気付いたのは、提督の誕生パーティーに夕立が行かないと言ったときのことであった。瞳を輝かせて提督に何をプレゼントするかを悩み込み、飾り付けやケーキの準備、会場の確保に席の配置に思いめぐらすはずであるという時雨の予想は外れた。
時雨は急いで聞き直したが答えは変わらない。そこでようやく何かあることを悟った時雨は辛抱強く夕立の口を割ろうとした。その時期には幾らか夕立の独占欲もおさまっており聞き出すことができた。
時雨は夕立をこのままにしていてはいけないと思い。ほとんど命令じみて出席の約束を取り付けた。しかし、それは時雨の短慮であった。夕立は部屋に一日中引きこもるという生活を続けていたのだ。その当時の時雨は度重なる長期遠征のために夕立の生活状況を把握していなかったが故の短慮。
21:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:46:38.93 ID:NYc+OQMZ0
しかし、ここでも時雨はまたポカをやらかした。夕立も時雨自身も料理に詳しくなく、どういう手順で作るべきかのノウハウを全く知らなかったのだ。その場合間宮など料理に詳しい人の助力を仰ぐのが定石だが、二人共料理なんてレシピ通りに作れば何とでもなると楽観的に考えていたのだ。
その時の厨房の様子といったら大騒ぎ。二人しかいないのに、どうしてここまで上から下まで騒ぎ立てられるのか。胡椒や小麦粉が宙を舞い、それを吸って咳ごんでくしゃみをし、人参のヘタを切って捨てるつもりがいつの間にか本体の方を捨てたりしていて、無理に鍋を引き出そうとして、棚から鍋の雪崩を起こし、一つ拾って、火にかけるのは良いが、レシピの順番通りに食材が準備されていないので、焼けば結果的に一緒だろうということで、手についたものから鍋に放り込む始末。
出来たものの味見は勿論した。日頃から「どうして比叡さんは味見をしてカレーを出さないのだろうか」と疑問に思って生きてきた教訓が生きたのだ。味はとても美味しかった。
22:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:47:43.47 ID:NYc+OQMZ0
季節は秋。クリスマスまで猶予はある。編み物は大変かもしれないが、少し不格好でも許してくれるだろうと時雨は考えた。時雨は今回の失敗を生かし、今度は他のみんなにも手伝ってもらおうと考えた。
やり方がわからなくて行き詰まった時は間宮や鳳翔、金剛といったそういうのに詳しそうな艦娘のもとを訪れた。金剛に関して言えば、編み物に詳しそうというより、「今年のクリスマスはこちらがこうした手作りマフラーをプレゼントするつもりだ。同じもの作らないでね」と牽制の意図が大きかった。
不器用ながらも夕立がマフラーを着々と編み続けていた時、ある話を耳にすることになる。提督がマフラーを身につけてきたということだった。それそのものは特に気にすることのない話だ。提督だって寒くなればマフラーをまくさと。
23:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:48:32.73 ID:NYc+OQMZ0
結果としてマフラーはクリスマスまでに間に合わなかった。やる気を失った夕立が得意でもないことを投げ出さず熱心に遂行するというのはどだい難しいことであった。提督はマフラーを貰えなくてしょんぼり、夕立もプレゼントできなくてしょんぼり、時雨もまたもやの失敗にしょんぼり。三者三様のしょんぼりしたクリスマスであった。
時雨は何か夕立は呪われているんじゃないかと思った。どう考えてもそこまで高い障害でもないのに、どういうわけか躓く。改善点は分かりきっているのだから、呪いなんて大げさかもしれないが、そんな雰囲気が二人の間で共通理解として成立してきているような気がしたのだ。
「だから、今度はしっかりと何回も練習してから、提督にご馳走するんだ」
24:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:49:04.14 ID:NYc+OQMZ0
「そうだね。広義に言えば。でもね、間宮さんには初めのうち手順を教えてもらって、どうにか僕たちだけでも作れるようになるまで練習するんだ。間宮さんという教官がいるんだから、前みたいに滅多なことにはならないさ」
「でも、私たちだけでおいしいカレーを作れるようになるかな」
「なるさ。あと、思い違いをしているようだから言っておくけど、今度の本番は夕立一人で作るんだ」
25:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:50:08.67 ID:NYc+OQMZ0
間宮は夕立たちの申し出を快く引き受けてくれた。逆にむしろぜひ教えさせてちょうだいと返された。夕立と時雨は厨房騒ぎの前科もちなので、そういう少し意地悪な調子の冗談にも沈黙を余儀なくされた。
厨房に入る前に軽い身体検査が行われた。探知機を用いて何か危ないものを持ち込もうとしていないか調べているらしかった。どうやら厨房で自爆テロでも起こすのではないかと疑われているらしいぞと、時雨は夕立とともに笑いあった。間宮も笑った。緊張をほぐさせる冗談だったのだ。
手を洗うことから包丁の持ち方といった基本的なことから、レシピには書いていないところの作業の仕方を丁寧すぎるぐらいに教えてもらった。間宮の手伝いがあると驚くほどスムーズにことが運んだ。夕立と時雨は自分たちの料理スキルが突然開花したのではないかと錯覚してしまうほどだった。そこで間宮が抜けるとまた途端にぎこちない連携の応酬となり、間宮に泣きつくのだった。
26:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:50:56.72 ID:NYc+OQMZ0
間宮との料理演習は長いこと続いた。こう聞くとすごい修練に励んだようにも聞こえるが、実際には一日でそんなに時間をとっていないので、長い期間に渡る料理実習というのは些か欺瞞的な響きを持つ。
それでも、事実長い期間間宮から料理のノウハウを色々と教わった。教官に間宮を選択したことを後悔したこともある。普段は優しい婦人なのだが、一度料理のこととなると鬼も逃げ出す厳しさだった。
料理の上達を目論むにはその道のプロである間宮から学ぶのが良いと思ったが、プロは素人にも妥協を許さず、ものになるように技術を叩き込もうとした。中には目下の目的には明らかに必要のない技術もあった。これだと金剛あたりのアマチュア気質に頼めば良かったと思うこともあった。
27:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:51:55.94 ID:NYc+OQMZ0
「どうだい、夕立。作業は良好かい?」
「ぽい!」
厨房に入って声を掛けると、元気のよい「ぽい」が聞こえてきた。夕立とはずっとにいたけど、何だか久しぶりにその口癖を聞いたような気持ちになった。
28:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:53:02.73 ID:NYc+OQMZ0
提督「いや、だから世界に不要なものだろ? そんなのssの前書きだろ」
時雨「適当なことを言ってるね。確かに待たせているのは夕立も悪いとは思っているよ。それで暇を持て余した提督がパソコンを開いてどこぞの投稿サイトを見ていても僕は何も責める気はないさ。でも、質問には真面目に答えるべきだと思うよ」
提督「そもそもどうして時雨がそんなことを聞くのかがわからない。一番大事なものとかならまだしも一番いらないものって、お前そんなの世の中には溢れているじゃないか」
29:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:54:06.60 ID:NYc+OQMZ0
提督「急にやってきたかと思えばわけのわからんことを。でも、お前は俺の「前書き」という答えに対して不平を言ったよな? 真面目に答えろって、だったらこれこそ一番いらないものの類になるんじゃないか」
時雨「それもそうだね。じゃあ、どうして前書きを不要だと思うかにしよう」
提督「そりゃあ、予防線をはるのって何だか見苦しくて、しかも内容がないことは明らかだ。誰も読まないだろうよ。そして誰も読まない文章に存在価値なんてないと思うがね」
30:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:54:46.60 ID:NYc+OQMZ0
提督「ああ。全く見えないね、前書きってやつは」
ノック音。
夕立「提督さん、入れてっぽい〜!」ガチャガチャ
31:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:55:39.53 ID:NYc+OQMZ0
時雨「じゃあ、僕はそろそろ行くよ」
提督「お前もお前で一体何をしにきたんだよ」
時雨「君に会いに来ただけじゃダメなのかい?」
32:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:56:18.30 ID:NYc+OQMZ0
時雨「それでも良かったんだけど、やめておくよ。大丈夫。心配しなくともあの鍋一杯は簡単に食べられるほど美味しいカレーだよ」
ガチャ
夕立「あれ? 時雨食べていかないの?」
33:名無しNIPPER[saga]
2015/07/27(月) 15:57:05.47 ID:NYc+OQMZ0
提督「また大きい皿を持ってきたな。夕立」
夕立「提督さんにはたくさん食べて欲しいっぽい! はい。どうぞ!」
提督「どれどれ。ぱくっ」
34:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 16:04:44.27 ID:4t9ROCAF0
執務室に一足先に向かっていよう。きっと提督は待たされて退屈して長々と前書きが長くなってすみません。
ちなみに安価はありません。ご安心を。
では本編を投下していきます。 28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2015/07/27(月) 15:53:02.73 ID:NYc+OQMZ0提督「いや、だから世界に不要なものだろ? そんなのssの前書きだろ」
35:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 17:49:38.18 ID:UwLYT0xXo
>ss初投稿です。
>内容は以前に投稿したもののアレンジになります。
36:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 18:46:04.22 ID:1I1YivfYO
>>35
ほんとこれ
いきなり頭を捻ったけど、最後まで読んでもやはり分からない
37:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 18:50:57.15 ID:TVFhhESUO
自称初投稿兄貴オッスオッス
38:名無しNIPPER[sage]
2015/07/27(月) 18:52:36.19 ID:xoWJOpgVo
いつもの定期的に立つ読者を皮肉ったSSって奴だろ
39:名無しNIPPER[sage]
2015/07/28(火) 11:08:21.70 ID:K2/bWZOm0
読みづらくてしょうがないから誰か三行にまとめて
40:名無しNIPPER[sage]
2015/07/28(火) 23:28:36.57 ID:CpbkJqADO
>>39
こんな長々とした「前書き」を最後まで読んでごくろうさん
でも前書きは不要なものだから読む必要なんて無かったんだぜ
セオリーを外すだけでお寒くなったのはご愛嬌。所詮「前書き」だし
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