26:名無しNIPPER[saga]
2015/08/02(日) 04:04:06.24 ID:V8gzDOoiO
咲「近いところから選びますよ。清澄なんていいんじゃないですかね」
健夜「風越にいこうとかは思わないの?」
なぜここで風越という校名が出て来たかは明白だ。
健夜は長野の高校をよく調べている。特に、『麻雀部が強いかどうか』に重きを置いて。
そして、健夜がしきりに風越へ関心を向けようとしてる意味を咲は十分に理解していた。
理解したうえで、やはりはぐらかす。
咲「制服がかわいいって噂ですよね。私はわざわざ遠くから通おうとは思いませんが」
健夜「えっと、そうじゃなくて…」
咲「他も遠いんですよね。私、朝は弱い方なので、あまり遠いと通学が辛いですし」
健夜「違うんだって!そうじゃなくて、風越がここいらじゃ一番麻雀が強いでしょ?だから…」
慌てて言い募る健夜に、咲は静かに視線を落とす。コップの外面を伝い落ち、テーブルに溜まった水滴を見つめ、息を吐く。
咲「だから?私が風越で麻雀をするって、小鍛治さんはそう言いたいんですか?」
健夜「うん…」
咲「…私がいったところでなにもなりませんよ。知らないんですか?風越は名門なんですよ」
健夜「知ってる。だからこそ、宮永さんならって」
咲「私なら…きっと、伝統ある風越麻雀部を崩壊させるでしょう。べつに自分からそうするでもなく、きっと成り行きで」
瞼を閉じればいつだって、咲にとっての悲劇はそこにある。
いくつものシーン、いくつものセリフのなかで、決まって咲は俯いている。
ただそれを焼き直すだけに他ならない。だから、風越を目指すなど咲には考えられなかった。
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