112:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:03:21.76 ID:5uQHH2Qt0
咲「和ちゃんは犯人がいると思う?」
ふと寂しげに咲さんが言ったその言葉は、先ほど智葉さんから言われて答えられなかったものでした。
咲さんはさっきからずっとそれを考えていたのでしょうか。
113:名無しNIPPER[saga sagi]
2015/08/02(日) 21:05:05.06 ID:5uQHH2Qt0
和「第二に愛宕さんですが、これも似たようなものですね。
違うのは部長と智葉さんが別々に一階に来たのや、照さん弘世さんが談話室にはいなかったことくらい。
ああ、これでは何も分かっていないようなものです」
114:名無しNIPPER[saga sage]
2015/08/02(日) 21:06:48.96 ID:5uQHH2Qt0
咲「ただ犯人に殺されるっていうことは、死ぬってことだよね」
和「それは、そうですね」
包丁を突き立てられても、頭を殴られても、殺されたら死ぬ。
115:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:09:45.46 ID:5uQHH2Qt0
咲「死ぬのは怖い。けれど私は和ちゃんと向かい合って死ねたら、それは嬉しいかもしれない。その死の瞬間を千年、一万年と引き伸ばして、和ちゃんを眺めていたい」
咲「結局死んだら意味ないかもしれないけど、それで死ぬっていうのは死さえ越えた歓びがあると思うんだ」
私は目頭が熱くなるのを感じ、咲さんから目をそらした。
116:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:11:09.46 ID:5uQHH2Qt0
部屋に来て十分を過ぎて十三分ほど経ったのに気づき、私たちは慌てて部屋をでました。
廊下は余りに静かで、物音ひとつしませんでした。夜間に携帯電話が落ちる音のように、私たちの足音は余りにも鮮明だった。
部屋を出てすぐに私はあることに気付いた。
117:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:12:35.31 ID:5uQHH2Qt0
私は焦燥感を覚え、煙が漂う調理場の方へ足を進めます。
調理場に近付けば近付くほど、その臭いは強くなります。そしていよいよ調理場についたとき、私の目にはまたしてもつらい現実が飛び込みます。
咲「智葉さん!」
118:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:14:28.27 ID:5uQHH2Qt0
私は何気なく辺りを見渡すと、煙が地下室の方から漂っているのに気付いた。
胸を叩く音を感じました。
地下室には誰が、誰がいたでしょうか。
119:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:15:55.07 ID:5uQHH2Qt0
最初中は煙と炎の赤色で余り見えませんでした。部長の名前を呼ぶも、返事はありません。
中に入ろうとしましたが、何故だか分かりませんが扉の前に中か大きくて重いものがあり、邪魔で通れません。
私はぼーとする頭を働かせ、ハンカチで鼻を覆うのも忘れていることに気付きました。
120:名無しNIPPER[saga sage]
2015/08/02(日) 21:23:27.44 ID:5uQHH2Qt0
13
胃酸で焼ける咽と、煙に犯され頭痛のする頭を私は完全に無視していた。
そこには心はなかった。
121:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:25:02.43 ID:5uQHH2Qt0
菫「智葉……?」
私たちが智葉さんの顔を回想を込めてみていると、背後から弘世さんの声がした。
弘世さんは悲しい表情で、智葉さんのそばに寄り、ひざまづいて智葉さんの顔を近くで眺める。
122:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 21:30:34.54 ID:5uQHH2Qt0
しばらく私たちは智葉さんの顔を眺め、その凛とした、それで優しい顔を心に焼き付けるようにした。
しかしそこで私は部長のことを思いだし、涙が目尻にたまる。
あの頼りになる笑顔、存在感。
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