133:名無しNIPPER[sage saga]
2015/08/02(日) 22:03:06.75 ID:5uQHH2Qt0
一歩一歩、探るように足を踏み出した。
しかし私は何だか違和感を感じていた。
あの臭い……あの嫌な臭いがこの部屋からはするのです。
あれだけ殺したのだから体についたのかもしれない。
そうも思いましたが、この臭いはもっと重々しく、決して二次的ものではない。これは他の部屋から感じるものと同じでした。
それでも奥へと行くと、その疑いは確信に変わる。
末原さんではなかった。
末原さんが犯人じゃなかった。
犯人は決して死んでいるわけがないんです。
和「咲さん」
私は咲さんに呼び掛ける。
咲さん、末原さんかと思ったんですが、犯人は違うみたいです。一体これはどういう――
そう言おうと思っていました。
しかし咲さんの声は返ってきません。
和「咲さん……?」
振り向いてはいけない。そう感じた。
ああ、でも私はその本能的欲求に耐えられませんでした。
私はゆっくりと振り向く。
だがその動作が最後まで行われることはなかった。
頭に重い衝撃。
私は一撃くらって倒れます。
血で染まる視界にいたその人は、意外な人でした。
和「何故……?」
愛ゆえに――
彼女はストックを持つ腕を振り上げます。
唇には接吻を、胸には剣を――
詠うようにそう言い、彼女は腕を降り下ろす。
終
156Res/112.10 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。