過去ログ - 一ノ瀬志希「存在の耐えられない軽さ」【R-18】
1- 20
5: ◆Freege5emM[saga]
2015/08/02(日) 21:44:47.68 ID:J1V0Ousco

●03

志希は『おもしろそーだね!』という理由でアイドルの世界に足を踏み入れた。

最初のうち、仕事は何でも上手く行った。やはり才能は本物だった。
それに、志希にとってアイドルという体験が新鮮そのものだったためか、
クスリなんてキメなくても面白おかしく仕事してくれた。



けれど、志希がアイドルとしてステップアップしていくうちに、状況が変わってきた。

プレッシャーがかかったり、理不尽な扱いをされたり、不本意な仕事もこなさなければならない。
また、ほとんど下積みなしで人気を掴んだ志希の立場や、
あるいは志希の才能そのものへの嫉妬が、ほかのアイドルから飛んでくる。
そして売れっ子になればなるほど、息抜きをする余裕も失われていく。

こうした環境では、志希の持ち味であるあのキャラを維持するのは困難だった。
メンタルコントロールについては、志希も普通の女の子以下だった。



ストレスが限界に近づくと、志希は仕事中でも失踪した。
そのたびに、俺があちこち探し回って、やっと志希の首根っこを捕まえて、現場に戻した。
つまり俺は、対症療法しかできなかった。

よく志希にアイドルを続けさせる気になった……そう言われても仕方ない。

なまじ才能があるために、志希へ諦めをつけるのがズルズルと遅れた。
こんな失踪が何度か続いた。

俺もやっと、志希をアイドルにするのは無理があったのでは、という考えが意識にでてきた。



だが、俺が諦める寸前で、志希はパッタリと失踪をやめた。

アイドル・一ノ瀬志希に未練があった俺は、
なぜ志希が失踪しなくなったのか、深く追求しなかった。



志希は失踪する代わりに、クスリで自分のテンションをムリヤリ引き上げるようになっていた。

クスリは香水にカモフラージュされた。
志希なら、ナニかスーハーやってても、『いつもの奇行が出た』で済ませられた。
慣れとは恐ろしい。



もちろん、クスリで高められたテンションは、
クスリが抜けてシラフへ近づいていくに従い、泥沼のように沈んでいく。
志希はそれをひた隠しにする。

でも、俺の目は早々に志希の異変を察してしまった。
そして、今は隠蔽の共犯。状況を悪化させてる。これじゃ薬物乱用のイネイブラーだ。

最近の仕事終わりの志希は、いつも泥沼じみたローテンションだった。

だったのだが、今日は勝手が違う。



「ふっふー、おっきくなってきたね……志希ちゃんでコーフンしてくれて、あたしも嬉しいよー♪」

積極的な志希の姿が――声が、ニオイが、感触が――とても懐かしく感じられる。
アイドルらしい志希の姿――いや、アイドルになる前の志希の素だ。



<<前のレス[*]次のレス[#]>>
32Res/44.99 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice