51: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/09(日) 11:32:24.38 ID:3Ri8fxGZo
神官「それでは遅いのですよ……! 魔族による危機は今、正に我々が直面している問題だ!」
「呪術による現段階で成し得る到達点に、魔術ではいつ到達出来るかわからない! ならば、呪術を知るものが……っ!」
呪術師は溜息をついて、神官の口に手を添える。その仕草は妖艶で、あまりにも緩やかな動きで、見るもの全てが止まったかの様に思えた。
呪術師「魔術が呪術に劣ると言っている様なもの。そうではない、と言った。一人でダメなら、二人、三人と同時に行使すればいい」
「同じ骨格で発動しているなら、複合も可能でしょう。人類は支えあって生きている……何か、一人で為そうとする存在は滅びる」
神官「……くっ、失礼した。つい取り乱したようですね」
呪術師「……でも、あなたの言う事も分からなくもない。だから、呪術の才覚のある者が為さなくてはならない事があるのは分かっている」
神官「えぇ、えぇ。王が貴女から呪術を取り上げられない理由は、存じ上げておりますとも」
「王が娘同然に扱う貴女だ。王はさぞ辛いでしょう……。それでも、我々は呪術を忌避しながらも、有用に扱わなくてはならない」
呪術師「……理解している。だから私は進んで、管理されている。そして……ギルドの名の下、暗部を担っているでしょう」
神官「それについては感謝しておりますよ。呪術は我々が管理できればいい。衰退し、緩やかに消えて行くならばそれにこした事はない」
「世に広まり、悪用されてはいけない力だ。蔓延るのは魔術だけで良い……。貴女は、呪術を知る者として他者を排除し、世から呪術を消し去ってくれれば良い」
犬勇者(……すごい舌戦すぎて、俺わけわからん。とにかく、呪術は広めちゃいけないから呪術師が他の呪術使用者を消すってことか?)
そういう方針の癖に、この神官は呪術の力に憧れを抱いている様にも見える。というよりは劣等感なのだろうか。
というか、呪術が此処まで危険視されるのは代償のでかさと普及しては危険だから……なのだろうか? それだけにしては、どうにも……。
呪術師「此処に来ると、いつも突っかかってこられて困る。私はどちらかと言えば、魔術の方が優秀だと思うけど……」
神官「勿論、それは間違いありません。呪術などという禍々しく、忌避される法とは一線を画しております」
「しかし要は最高地点のお話です。呪術で成就できる願望こそが、我々の最大幸福に繋がるのは紛れもない事実……まあ、それには相応の代償は必要ですがね」
呪術師「分かっているなら、魔術で対抗して欲しい。こちらとしても、この力は私を最後に消し去りたいとは思っている」
神官「そうあって欲しいと思いますよ。魔王さえ討たれれば、それが成就する事も間違いはないのですが……ねえ」
ちらり、と昏睡状態の三人を見て眉間にシワを寄せる。どうやら、実現が難しいとでも考えているみたいだった。
犬勇者(魔王が討たれれば、呪術が広まらなくなる……? うーん、どういう事だ……)
145Res/115.26 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。