過去ログ - 犬勇者「わんわんお!」
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52: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/09(日) 11:32:50.75 ID:3Ri8fxGZo

――王都・郊外

呪術師はあの後、神官たちから更に嫌味を追撃されつつも、さらりと流しながら三人の状態について再度述べて帰路についた。
どうやらやはりあの三人は昏睡の呪いにかかっていると見て良い様だ。使用者と波長が違うから、解呪は不可能だとかなんとか。

犬勇者(ふーん、呪術って随分と複雑なんだな。それに燃費も悪そうだ……使い勝手は、あまり良くないとみた)

魔術同様の結果をもたらすけど、使用者によって波長が異なる為に使用者にしか解呪は難しいか。低級の呪術なら、解呪は出来るらしいけど。

犬勇者(ややこしやー。俺は魔術もほとんど勘で使ってるから、学がないんだよなあ〜……)

しかも呪術は波長が異なっていても、発動結果は同じと来た。単純に面倒じゃないか。いくつか他にも問題はあるけど、忌避される理由はよくわかった。

犬勇者(それにしても、魔王が討たれれば呪術は根絶出来る、か。じゃあ、魔王は呪術を使うのか? げっ、アイツのって魔術じゃねーんだ)
(それとも魔術も使えるんだったりして……だって、魔術だって完全に認識してたもんなあ……いや、ていうか、魔女が呪術使うんじゃね?)
(つーかあいつらを昏睡状態にしてるのは、多分魔女だよな……うーん、何が目的なんだ……いや、生きてて嬉しいんだけどさあ……)

ぐーるぐると頭を考えが巡る。魔王が呪術使用者なら、俺にだってわかったはずだし、魔女が俺を犬に変えているのだから、完全に呪いだし?
色々と考察が頭を右往左往して、どうにも気分が悪くなる。昔から、考え込みすぎると頭が爆発しそうになるのだ。

呪術師「ふう。おつかれ、犬。今日はいっぱい話たから……つかれた……」

王都を背に、森へと向かう呪術師の顔は疲弊に満ちていた。そりゃ、普段そこまで話さない呪術師がいっぱい話すのは珍しいもんなあ。

呪術師「まったく、神官は劣等感が強すぎる。妹みたいに、理解があれば良いものを……」

ぶつくさ、と呪術師が愚痴をたれる。むう、これもまた珍しい……。

犬勇者(…………あっ! 神官に俺の呪い解いてもらうの忘れて……いや、多分無理だな、あの会話聞いた後だと)

まず言語が通じないので意思疎通ができない。加えて俺にかかってるのは低級の呪いとは思えない。
以上の二点から不可能に等しい―――とにかく、俺の呪術への知識があの場で増えた事で、神官はボツだ。

犬勇者(だとすると、呪術師に診てもらうのが早いな。王都じゃ一番の使い手って感じだし。問題は意思疎通だよなあ)

じーっ、とまだぶつくさ文句をたれている呪術師の顔を覗きこんでいると、呪術師がはたと気付き俺に微笑を浮かべてた。

呪術師「ふふ、ストレスも溜まったし、今日はお風呂で、いっぱい遊ぼう」

犬勇者「わ、わん……」(げっ、また俺の理性が……)

逆に俺のストレスが溜まりそうだぜ、と困った返答を返しておく。
犬の身であっても、呪術師の身体は色々毒だし、俺の身体にはオスであるが故のうんたらかんたらが溜まるわけでして。


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