84: ◆XtcNe7Sqt5l9[saga]
2015/08/28(金) 03:40:32.61 ID:bXvlyvW5o
呪術師「…………何を、思い出しているの」
思えばあの日から、妹から送られる手紙や、噂で聞く勇者を知る度に胸が高鳴った。
これが恋であり、誰かを愛する気持ちだと、その度に確信に近づいていった。
叶う事はない気持ちであり、叶ってはいけない想いだとも。
呪術師(だけど、想うだけなら……勝手、だから)
だから、今は行方不明である勇者の姿をこの眼で見たかった。
もしかすれば、この廃砦に勇者が囚われているという可能性もあるのだから。
呪術師(顔を隠して……準備万端、乗り込む……)
顔をスカーフで覆い、ローブをすっぽりと被り廃砦へと侵入する。
呪術師(………この感覚、魔力の淀み……呪術、か)
廃砦へと足を踏み入れ、探索を始める内に呪術の気配を感知出来た。
どうやら此処でも、呪術を行使する存在が居るらしい……。
呪術師(そんな所に有者が、いる……?)
魔力の淀み、つまり呪術の反応としては弱いものだった。
それに、呪術を禁忌と知って許可なく扱うものなら結界を張るくらいの事はするはずだが。
呪術師(どうにも、変な感じがする――――っ!?)
がやがや、と最奥の一部屋から複数人の声がした。
気配を殺し、耳を澄ますと、どうやら三、四人……どれも、下卑た声だった。
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