過去ログ - 八幡「誕生日プレゼント?」小町「これが小町からの誕生日プレゼントだよ」
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18:黒猫 ◆7XSzFA40w.[saga]
2015/08/13(木) 03:32:13.91 ID:VK9XCbMA0


雪ノ下のあとを追い、向かっていった雪ノ下の部屋は、
以前来た時と同じようにブルジョワ感を俺に見せつけてきた。
別に成金趣味ってわけではないので、悪い気はしない。
むしろ雪ノ下がそろえた家具は上品で、
なおかつ温かみを感じさせるので居心地は良かった。
ただ、なんていうか、ところどころに見え隠れするパンさんグッズが、
見てはいけない秘密をみてしまった感を俺に与えてきてしまう。
俺は雪ノ下がパンさんが好きなのを知っているし、
雪ノ下も俺には隠してはいない。
もはや開き直ってる感さえあるわけで。
それでも俺がパンさんグッズを見つけるたびに敏感に視線をそらしてしまうので、
それを見た雪ノ下は黙って恥じらいに耐えていた、
いや、ほんとにこの趣味は悪いとは思ってないのよ。
雪乃下にしては可愛い趣味をもってんだな程度だし、
人に言っても馬鹿にされるような趣味とも思えないしな。
なんて、俺って悪い事しちゃったかなって思っていると、
雪ノ下は俺をリビングにおいてキッチンへと隠れてしまっていた。
まじで、あとで怒られる? 
いや、俺も一応はお客だし、今日は大丈夫か、な?
そんなこんなの意味不明の迷走劇も、
雪ノ下が用意した紅茶の前に、あっけなく終焉を迎えた。


八幡「悪いな」

雪乃「別にいいのよ。私も喉が渇いていたわけだし」


カランと揺れるグラスの中の氷が熱い紅茶と混ざり合って溶けていく。
グラスに薄っすらと見え始めた雫は、
今もなお紅茶の温度を下げていくのを示していた。


八幡「アイスティーとは珍しいな」

雪乃「自宅ではわりと飲んではいるのよ。でも学校では氷がないから」

八幡「なるほどな。
   でも、部室に氷があったら助かるな。
   部費で冷蔵庫とか購入できないのか。
   今年は新入部員が入ってきたし、部費もアップしたんじゃないの?」

雪乃「どうかしら? そもそも奉仕部は正式な部として認められているのかしらね?」

八幡「どういう意味だよ。平塚先生が顧問で、雪ノ下が部長だろ?」

雪乃「一応はそうよ。
   でも、考えてみなさい。
   去年あなたが入部する前は私一人だったのよ。
   どこの学校に部員一人の部活があるのかしら? 
   たしか正式な部として認められるのには部員が5人必要だったはずよ」

八幡「それだと部活として認められていなかったんだな」

雪乃「そうね。
   それに同好会であっても最低構成人数が二人だったはずだから、
   私一人では同好会としても認められていなかったはずよ」

八幡「平塚先生……。
   けっこういい加減だったんだな」

雪乃「でも、今年は部員が五名になったのだから部費は出ているはずよ」

八幡「まじで?」

雪乃「でも、創部初年度であるわけだし、
   実績もない部活に多額の予算は回してもらえないわ」

八幡「だとすれば、冷蔵庫は夢ってことか」

雪乃「そのようね」


雪ノ下が頬笑みこの話題に終止符を打つのを確認すると、
俺はほどよく氷が溶けたアイスティーを喉に流す。
基本的には冷たくなったアイスティーも、
ところどころ氷で冷やしきってない熱くてぬるい部分もあり、
何とも言えない停滞感を醸し出している。
とくに均一に冷やすことにこだわっていないし、これはこれでありだとは思う。
なんというか、ちょうど今の俺と雪ノ下のようなよくわからない関係に似ているのだ。
友達というわけでもなく、かといってただの他人とみなす事もできない。




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